下手な言い換えは会話のテンポを乱すことがある

脳のレベルでは、あなたの言葉は安全と判断され、言葉の検問を軽やかに突破したのです。では、もしオウム返しをせず、次のように言い換えた場合はどうでしょうか?

営業「少し、日焼けされましたか?」
お客様「そうなんですよ。先日、沖縄旅行に行ってきたんですよ」
営業「国内旅行に行かれたのですね」
お客様「?(NO)はい……。(国内だけど、海外じゃなきゃダメだったのかな?)」

このように言い換えると、相手の言葉そのままではないので一瞬頭にNOが浮かび、「沖縄=国内」と変換が必要で、会話が思考的になります。

もやもやする女性
写真=iStock.com/metamorworks
※写真はイメージです

ぜひ実験してみていただきたいのですが、オウム返しの際は相手の表情がリラックスしているのに対し、言い換えた場合は真顔になります。

言葉を吟味するため、脳が分析的になるからです。すると、気持ちのいいテンポで会話ができず、「楽しかった」という感情を感じにくくなります。

相手の言葉は、相手の世界観そのものです。オウム返しで相手の世界観そのものを大切にすることが、ラポール=信頼感を育てることにつながるのです。

人気芸人のすべらない話の極意

芸人さんのようにすべらない話=面白い話をしたいと思う人は多いものです。

では、人気の芸人さんたちは、どんな努力をしているのでしょうか?

芸人さんは、人気芸人のネタやトークを何百本も見たり、ツッコミ担当なら、ものを知らないとツッコめないと、普段から新聞や本などを通して大量に情報収集をしています。

素人でも、好きな芸人さんや自分に近い声量・雰囲気の面白い人を見つけて、モデリング(観察学習)することはできます。心理学でのモデリングとは、モデル(=すでに目標を達成している人)の仕草や考え方、行動を真似して取り入れ、成果を出そうとすることです。

しかし、この方法はよほどお笑い好きな人でないとできません。高度な笑いをとるテクニックは、にわか仕込みでは身につかないからです。

では、素人はどうやって笑いを会話に盛り込めばいいのでしょうか?

それには、「誰しも最大の関心事は自分自身である」という大原則を活用することです。