会話に参加できないとどんな話もつまらない
相手が興味関心を持っていることを話題にし、相手の美点を探し、承認(褒める・労う・認める)を意識的に行うだけで、笑いや笑顔が生まれやすくなります。
相手を主人公にして話すことが大切です。
相手に関係のない、どこかで聞きかじった話をするより、すべることは格段に減ります。トップセールスや人間関係がうまくいっている人は、鉄板ネタで会話を盛り上げるのではなく、必ず周りにいる人が会話に参加できるように気を配っているだけです。
たとえば、ビジネスの集まりで遅れて到着した人が隣の席に座ったら、「今、主催者から説明があって、これから名刺交換が始まるみたいです」と説明して、相手に会の進行状況がわかるように気遣います。
また、団体で話していて、1人がお手洗いなどで席を立って戻ってきた際は、「さっきの話、結局、○○ってことで落ち着いたらしいよ」と相手が話にすっと入れるように配慮します。
反対に、嫌われる人は仲間内だけがわかるような話を延々続けます。「つまらない……」と感じるのは、多くの場合、話がつまらないのではなく会話に参加できないからです。
決してお客様を置いてけぼりにしない落語家の語り
相手を巻き込むほど、あなたの話は聞き入れられ、会話も盛り上がるようになります。
そのためには、相手をキャリブレーション(=観察)することが必須です。これは、カウンセリング等でも活用されている、相手の言語や非言語から本音を探るためのスキルです。
落語は、落語家が一人喋りをしているように見えて、実は決してお客様を置いてけぼりにしません。
タレントの伊集院光さんは、師匠から古典落語の世界では有名なキャラクター、能天気なうっかり者の与太郎の話をするときのコツを、次のように教わったそうです。
父「おまえ、いつも鼻たらしてるな。ちっとは鼻をかめ!」
与太郎「あんまり、鼻ばっかりかむとちり紙がもったいねえ」
父「だから、言ってんだろ? 最初に鼻をちり紙でかんで、二度目は便所で使えって」
与太郎「それが……」
ここまで話して、客席がクスクスと笑い出したら、
父「汚ねーな、お前は!」
とツッコんで次の話に移り、客席がまだ笑っていなければ、
父「まさか、順番間違えたりしてね〜だろうな?」
とお客様に、笑うポイントがわかるように話を変えるといいます。