自慢話は「他者と比べない笑い話」がよい

自慢の仕方には次のようなものがあります。

・ハブリス

他人と比較する自慢「あいつはダメだったけど俺が話したら契約できたよ」

・ハンブルブラッキング

謙虚を装った自慢「全然勉強していないのに試験に受かっちゃった」

・ネームドロッピング

有名人や権力者の名前を持ち出す自慢「私、社長と仲が良くて」

世界的ベストセラー『人を動かす』の著者デール・カーネギーも「人は、友達同士でも、相手の自慢話を聞くより、自分の手柄話を聞かせたいものだ」と言っています。

藤本梨恵子『なぜか惹かれる人の話し方 100の習慣』(明日香出版社)
藤本梨恵子『なぜか惹かれる人の話し方 100の習慣』(明日香出版社)

いい関係を築きたければ、相手の自慢話を聞くほうが賢明です。

どうしても自慢をしたいときは、それが笑い話になるように話をすることです。そして、他者と比べないことです。

交流分析では、FC(フリー・チャイルド)という自由闊達な幼児性を高めて自慢すれば愛されるといわれています。

たとえば、関西の人がよくやる自慢で「なー、なー。ちょっと聞いてくれへん? この鞄めっちゃ安かってん! 見つけた私、天才ちゃう?」などと、笑顔でテンション高めに話されると、相手は思わず「かわいい人だな」と笑ってしまいます。これなら自慢で相手を疲れさせることはありません。

相手の自尊心を満たす「3つの欲求」

「人が失敗する原因は1つしかない。それは、本当の自分に対する信頼の欠如である」とアメリカ最大の心理学者と称されるウィリアム・ジェームズは言いました。私たちが目標を達成し、良好な人間関係を築くためには、自分を大切にして信頼する心=自尊心が不可欠です。

自尊心を満たす要素として、アメリカの心理学者ウィル・シュッツ博士は「自尊心の3大欲求」に①自己重要感②自己有能感③自己好感の3つの欲求があると提唱しました。

①自己重要感……自分を大切な存在として認めてほしいという欲求
②自己有能感……正しい意思決定と適切な行動を起こせる自分でありたいという欲求
③自己好感……人から好かれたいという欲求

・自己重要感を満たす言葉や態度

部下や同僚に「ありがとう。商談成立は君の協力のおかげだよ」と言う。

子どもを親が笑顔で出迎えたり、友達と喧嘩して帰ってきたときには「大丈夫?」と声をかける。子どもは「自分はここにいてもいい大切な存在なのだ」と感じます。

小学生の女の子を抱きしめようとする母
写真=iStock.com/maroke
※写真はイメージです

反対に、「それぐらいで泣くな」と感情を軽視したり、年齢に相応しくない要求をする(子どもに皿洗いを忘れるなと言ったり、赤ちゃんの面倒を見させる)などを繰り返すと、「自分は親から愛されていない」と感じ、自己重要感が育ちません。

・自己有能感を満たす言葉や態度

上司が部下に「あの対応の速さ、さすがだね。先方も驚いてたよ!」と言う。
親が子に「宿題もう終わったの?えらいね〜」と頭を撫でたりして能力を褒める。

・自己好感を満たす言葉や態度

友人に「いいね〜。そういうところ、好きだわ〜」と言う。
親が子に「大好きだよ」と言って抱きしめる。

このように3つの欲求を満たすことで、相手の自尊心や意欲が育ちます。