お笑いコンビ「TKO」の木下隆行さんは、2019年に後輩にペットボトルを投げつけるパワハラ騒動を起こし、所属事務所を退所した。相方の木本武宏さんは「木下が騒動を起こしたのは僕のせい。背景には、僕の木下への嫉妬心がある」という――。

※本稿は、木本武宏『おいしい話なんてこの世にはない どん底を見たベテラン芸人がいまさら気づいた56のこと』(KADOKAWA)の一部を再編集したものです。

お笑いコンビ初の「2人とも炎上」

お笑いコンビのどちらかが「炎上」することはあっても、二人揃って「大炎上」したのは、TKOが初めてでしょう。僕らが芸能活動を再開すると、ある意味で鮮度が出て、あちこちからお声がけいただける現状があります。とはいえ、トラブルもスキャンダルも経験しないほうがいい。なぜこんなことになったのかを深く考えて、ひとつのシンプルな結論に達しました。

「自分ちっさいなあ」が、それです。

僕、木本武宏の人間としての器がとことん小さかったのです。

仕事以外の会話が一切なかった

木下が後輩のオジンオズボーン篠宮暁の顔にペットボトルを投げつけて大騒動になったのは、2019年10月です。

ぼやけたボケの背景にペットボトルを持っている男
写真=iStock.com/shark_749

当時の僕らは、仕事以外で話すことがありませんでした。あの頃から僕が木下に対する思いやりや優しさを失っていったのは事実。それこそが騒動の根本にあると気がつきました。お互いの存在じたいがテンションを下げていたのです。特に同じ空間にいるとその傾向が強かったので、会いたくなくなる。木下が僕と同様に考えていたかはわかりませんが、おそらくそれに近い気持ちだったと思います。

中学生で出会ったときから、僕は一発で木下にかれました。いまでこそ坊主頭の太ったおっさんですが、当時はほっそりとした長身(横幅があるのでわかりにくいですが183センチメートルあります)のイケメンでした。「あいつには華がある。そしてそれは、俺が持っていないものだ。でも俺になくても構わない。コンビでお互いを補えばいいんだから」と考えました。そんな出会いを経てTKOが生まれたのです。