成果を第一に考える経営者か?
日本のビジネス界、その最大の欠点はもしかしたら、個人の努力や目標達成のプロセスを過大評価しすぎる点ではないでしょうか。
なぜなら、日本の経営者もビジネスパーソンも「何が何でも結果を出す!」という執念やガッツが足りないように思えるからです。
ジェニーン氏は、マネジャーのあるべき姿を、短い言葉で端的に「実績をもたらす人間」と定義しています。
ビジネスはシビアなものです。経営者の評価は「結果を出したか出さなかったか」で決まるという厳しさが、ブレない経営につながるのではないでしょうか。
事実を把握している経営者か?
報告されている事実が「見せかけの事実」であるか、「揺るぎのない事実」であるかを嗅ぎ分けることが、ブレのない、正しい経営判断をするうえで非常に重要だと、ジェニーン氏は考えていました。「あえて不作法も辞さなかった」というくらい執拗に事実を追及したようですから、もし彼が自分の上司だったら非常に怖い。しかし経営者は、本来そうあるべきなのです。
特に、数字を一目見て問題点を把握する能力は経営者が絶対に持っていなくてはならない能力です。しかし、数字を見るのは経理や財務で、これは下からの報告を聞くだけでよいと思っている経営者があまりにも多い。
確かに、数字を見続けて、そのカゲに隠れる“事実”を読み解く作業は、ひどく退屈です。しかし、ジェニーン氏が「数字は企業の健康状態を測る体温計だ」というように、数字なしで正しい経営判断などできるワケがない。
僕自身、数字を見るのが速ければ速いほど、それだけ早く必要な対策を打てると考えています。コンピューターの力で、販売情報や在庫情報をはじめとする数々の数字がリアルタイムで取り出せるのですから、パソコンなどなかった時代のジェニーン氏はきっと、いまの進歩を羨んでいるかもしれません。数字に表れてくる事実を、経営者が読み解くことは、ずっと簡単になりました。それをやらないことは、たんに経営者の怠慢にすぎない。
※すべて雑誌掲載当時
1949年、山口県宇部市生まれ。早稲田大学卒業後、ジャスコを経て実家の小郡商事に入社。91年社名をファーストリテイリングに変更。2002年代表取締役会長就任。05年より会長兼社長となる。