常に目標を掲げることのできる経営者か?
ジェニーン氏は、経営とは「本は始めから終わりへと読むが、経営はそのまったく逆。終わりから始めて、そこに到達するためにできる限りのことをすることだ」と述べています。
実はジェニーン氏のこの言葉を知る前は、経営というのは現実の延長線にあることを1つ1つ形にしていくこと、だと思っていました。つまり、努力さえしていればその歩いた先に、なにかしらの“結果”が待っていると僕は考えていたのです。
しかし、それでは「できるかできないか」がよくわからないうちに、「自分たちにはできない」と規定しがちになる。ちょっとでも障壁があると、すぐに方向転換したり、目標の修正をしてしまうわけです。経営におけるブレとはこういうメカニズムで生まれてくる。
ジェニーン氏が言うように、最終的な目標を明示して、その実現のための方法を行動単位で考え、組織全体で実行していくことこそ“本当の経営”です。「そんなことは当たり前だ」という人は多いでしょう。しかし、それが骨身に染みている経営者はそう多くないというのが現実なのです。
ジェニーン氏の言葉に、自分の経営の甘さを思い知らされた僕は、山口県の宇部市という田舎で、「世界一のカジュアルチェーンになる」と社員たちに宣言し、その実現のために、まず「100店舗の達成と株式公開」というゴールを設定し、さらに「日本一のカジュアルチェーンになる」という目標を立てたのです。
とりあえず、日本一という中間目標は達成しました。まだ道の途上ですが、目標から逆算して行動することで、日々の仕事をブレさせずに最短距離を進んだ結果でしょう。そして、いまも世界一の企業になるために、何を実行するべきか――このことを考えることを僕は心から楽しんでいます。