タブーの連鎖を止める
小倉さんは離婚した両親に振り回されてきた。そのため息子たちには、自分のような思いをさせたくないと話す。
「小学生の頃、(両親が離婚し、母親が父親から養育費をとらなかったため)お金がなくて恥ずかしい思いをした経験から、『養育費は子どものものなので、可能ならちゃんともらってほしい。DVなど特別な事情がない限り、面会は子どもに決めさせてほしい』と思っていました。もちろん不倫した父が悪いのは分かっていますが、どっちも毒親だったと思います。2人とも自分のことばかりで、一番に愛されていた記憶がありません」
別居した小倉さんが自分を頼ってこないことが気に入らない母親(57歳)は、「あいつは祖母(母親の母親)の遺産を狙っている」という嘘を親戚中に言いふらし、「あいつは私のマンションも狙うに決まってる! あいつには1円もやらずに次女に相続させてやる!」と息巻いていると、80歳になった祖母を世話する叔母(母親の妹)から聞いた。
「親は選べないと言うけれど、せめて自分は毒母や夫のように、自分の都合で子どもを迷わせたり傷つけたりするような親にも、義両親のように何をしても叱らない甘やかし親にもなりたくないと思いました。幸か不幸か、『自分の親パターン』『夫パターン』『義両親パターン』というあらゆる反面教師を得たので、それを糧に息子たちと向き合っていきたいと思います」
小倉さんは身勝手な両親や夫を、「恥ずかしい」と感じている。
自分が母親のような毒母にならないよう、自分の好きな道は自分で決めてほしいと願う小倉さんは子どもたちが好きなことや苦手なことを否定しないようにしている。そして、夫のような大人にならないよう、悪いことをしたり人を傷つけたりしたときには、厳しく叱るようにしている。
「自分が子どもの頃、親にしてほしかったことは、なるべく子どもたちにしてあげたいと思い、『大好きだよ』『あなたが1番大事だよ』と伝えるようにしています」
小倉さんの戦いはまだ始まったばかりだ。