変化と自白

幸い、長男が3歳のときに夫の給料が大幅に増えた。だが、その途端、「俺はこんなに稼いでるのに、なんで小遣いが少ないんだ!」と騒ぎ立てるように。

「散々説明しましたが、お金はないのは不妊治療とマイホームのためです。夫婦共通のECサイトのアカウントで、必要なものは自由に買えていましたし、家で飲むビール代やガソリン代も家計費から出しています。私はブランドものに興味はありません。夫のお小遣いはほぼ飲み代に消えていました」

この頃から夫は、急に不機嫌になって小倉さんの欠点を挙げ連ねて責め、一方的に「別れる」とわめき散らす。

そんな中、マイホームは無事完成し引っ越しの日を迎える。マイホームの各種手続きも、引越しの荷づくりも、もちろん家事・育児も、夫は仕事を理由にすべて小倉さんに丸投げだった。

マイホームで迎えた最初の夜は大喧嘩になった。夫が謝ることはなく、この日を境にますます態度が悪くなっていく。

約13年間夫を見てきた小倉さんは、直感的に不倫を疑い、探偵事務所に相談。すると、どうやら土日の日勤明けや、泊まり込みの仕事明けに不倫相手の家に行っていることが判明した。

探偵により証拠写真まで押さえた小倉さんだったが、ダメ押しで自白を狙い、夫が泥酔している夜中に不意打ちのビンタで叩き起こし、「○○って誰?」と相手の名前をたずねる。夫は「誰だよそれ!」としらを切ったが、「あなたと性行為をしてる、××マンションの女性でしょ?」と言うと不倫を認めた。もちろん、すべて録音していた。

さらに小倉さんは、夫と相手の女性が口裏を合わせる前に、夫にその場で相手の女性に電話させる。相手は同じ部署で働く若い女性だった。

スマホを使用する女性
写真=iStock.com/Marco_Piunti
※写真はイメージです

「小倉の妻です。なぜ電話したかお分かりですよね? あなた方が性行為をしていたことも把握しています。同じ職場なのですから、既婚者だと知っていましたよね?」
「……」
「知っていましたよね?」
「……はい。すみませんでした」

夫は、不妊治療を始めた頃から飲み会のたびに不倫を繰り返していたことを自白。「若い女性から誘われて舞い上がってしまった」と非を認めたものの、最後まで小倉さんに謝ることはなかった。