モラハラ発動

夫の不倫が発覚した2カ月後、なんと2人目の妊娠が判明。

渋々夫に伝えると、「もういらないから、堕ろしたいなら堕ろしていいよ」と言って離婚と中絶を迫られる。

しかし3週間後、世間体と罪悪感からか「やっぱり中絶はやめよう」と手のひらを返した。

胎児超音波検査
写真=iStock.com/PEDRE
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「産むということは再構築?」と小倉さんが今後のことを話し合おうとするも、夫は都合が悪くなると何を言っても「離婚だ離婚だ」と投げやりになる。

小倉さんは長男の手前、夫に普通に話しかけるも、夫は無視したり用意した食事を破棄したり寝室を別にしたり。極めつけは、2回目の妊娠でも悪阻で倒れ、救急搬送された時だ。救急隊員からの連絡を夫は「仕事中だから」と途中で切ったため、小倉さんは3歳の長男同伴で救急搬送された。

その後も夫は、「悪阻で寝てるのを見るとイライラする」と言ったり、「仕方なくお前と結婚してやった! 本当は嫌だった!」などと口走ったりするように。

あまりに「離婚したい」と言うので、小倉さんが家のローンや子どもの養育費のことを話すと、「疲れているから話しかけるな!」と逃げた。小倉さんは、産後うつの悪化と悪阻に苛まれた。

臨月の夜逃げ

夫の職場不倫発覚から9カ月ほど経ったある晩、パートから帰宅した小倉さんは違和感を覚える。夫婦で共有していたスケジュールアプリから夫が退会していたうえ、家にあった夫の生活必需品がなくなっている。どうやら夫はありったけの現金やカード類を持ち、車で夜逃げしていた。

すぐに弁護士を予約した小倉さんだったが、長男が寝た後にお金や子どものことで不安になり、夜通し泣き続ける。しかし翌朝、「泣いてる場合じゃない! 出産は待ってくれない!」と自分を奮い立たせた。

役所の子ども相談窓口に電話し、夫が全財産を持って夜逃げしたこと、そして自分は臨月を迎えていること、母親が毒母なので頼れないことを相談。

すると職員はすぐに自宅まで来て話を聞き、出産時の入院期間中と出産後、長男は児童相談所の緊急保護を利用できる手はずを整えてくれた。