優秀な人材確保のために努力している会社を見分ける
〈ポイント5〉従業員数と平均給与からわかること
「従業員の状況」という項目には、あくまでも親会社に籍を置いている社員に限定されますが、平均年収とセグメント別の従業員数が記載されています。
もちろん給与がすべてではありませんが、いい人材をたくさん確保できる会社かどうかは、やはり人件費にどれだけお金をかけられるかという点が問われます。
特にこれからは、人手不足の時代を迎えます。少子化が進んだ日本では、労働に携わる人の数がどんどん減っていきます。それでも生産性を維持するため、多くの会社はDXなどを進めていますが、やはり優秀な人材を確保しなければ、会社の競争力がどんどん落ちてしまいます。
このような環境下で、ひとりでも多くの優秀な人材を確保するためには、給与を引き上げる必要性も高まってきます。そういう観点から、年間平均給与の水準には注目しておく必要があるのです。
また、セグメント別の従業員数を見ると、その会社がどの部門に最も力を入れているのかがわかります。当然のことですが、より多くの従業員を割いている部門がその会社の主力と考えられます。
決算短信にしか載っていない重要情報
〈ポイント6〉決算短信で来期の業績予想を見る
ここまで有価証券報告書を深掘りするポイントを解説してきました。最後に決算短信について少し触れておきます。
基本的に決算短信に記載されている財務三表も有価証券報告書に記載されているのと内容は変わらないのですが、決算短信にしか掲載されていない内容もあります。
決算短信にしか掲載されていない情報とは、業績予想です。会社として、今後1年間の業績をどう予想しているのか、ということが記載されているのです。
たとえば、味の素だと2023年3月期の売上が1兆3591億1500万円でしたが、2023年5月11日に開示された2023年3月期決算短信によると、2024年3月期の連結業績予想は売上が1兆4650億円で、前年度比7.8%増を目指しています。