投資家は企業の開示資料をどのように読み解いているのか。公認会計士の川口宏之氏は「速報性に優れた『決算短信』に加えて、『有価証券報告書』を読んでおけば、会社の中身はだいたい把握できる」という――。
※本稿は、川口宏之『有価証券報告書で読み解く 決算書の「超」速読術』(かんき出版)の一部を再編集したものです。
会社の中身を把握するために見るべき2つの開示資料
特に株式投資をしている人たちにとっては、今期の決算がどうなったのかは、非常に関心の高いところだと思います。それを知ることができるのが、企業の開示資料(IR資料)です。
上場企業は1年を通じて、さまざまな開示資料を作成しています。これを「ディスクロージャー」とも言いますが、要するにその会社がどのようなビジネスを展開していて、どのような結果を出したのかを投資家に対して開示するためのものです。
ざっと挙げていくと、「有価証券報告書」「決算短信」「コーポレート・ガバナンス報告書」「統合報告書」「株主通信」「決算説明会資料」あたりが代表的なもので、もう少しディスクローズに積極的な会社だと、これらに加えて「中期経営計画」「知的財産報告書」などを出しているところもあります。
でも、手っ取り早くその会社の中身を把握するならば、これらの資料すべてに目を通す必要はまったくありません。ぶっちゃけて言えば、「決算短信」と「有価証券報告書」だけで十分です。