政府が示す「開示することが望ましい19項目」の中身
現状、人的資本に関しては、どういうフォーマットで何を入れるのかが、会社側の任意とされています。ただ、2022年8月30日に、内閣官房が人的資本開示の在り方をまとめた「人的資本可視化指針」を策定し、下記の「開示することが望ましい19項目」を公表しています。
【育成分野】
・リーダーシップ
・育成
・スキル/経験
【エンゲージメント分野】
・エンゲージメント
【流動性分野】
・採用
・維持
・サクセッション
【ダイバーシティ分野】
・ダイバーシティ
・非差別
・育児休業
【健康・安全分野】
・精神的健康
・身体的健康
・安全
【労働慣行およびコンプライアンス/倫理分野】
・労働慣行
・児童労働/強制労働
・賃金の公正性
・福利厚生
・組合との関係
・コンプライアンス/倫理
味の素は「志の醸成と共感」「多様性」など7つの観点で開示
まだ、義務付けられたばかりで、2023年3月決算企業が有価証券報告書に掲載したのが初めてのケースになります。したがって、各社開示の仕方がさまざまではありますが、一例として引き続き味の素の有価証券報告書から、人的資本の項目の一部を掲載しましょう。
ここにすべてを掲載することはできませんが、ここでは、「人財育成方針」「人財に係るマネジメント体制」「志の醸成と共感」「多様性」「挑戦」「Well-Beingに関する取組み」「人的資本経営に関係する外部機関等からの評価」という7つの観点からの情報が6ページにわたって開示されています。
今後、「人材育成にかけた時間やコスト」「売上に対して社員の教育コストをどのくらいの割合でかけたのか」などが定量的に開示されることが一般的になれば、新しい形の会社分析も可能になりそうです。