“事務的なミス”だとされた「ロゴ混入問題」
唐突にネットの話題となった、内閣府「再生可能エネルギー等に関する規制等の総点検タスクフォース(以下、再エネTF)」問題があらたな展開を見せている。
まず、事の発端は、3月22日の再エネTF構成員の大林ミカ氏(自然エネルギー財団事務局長)が提出した資料のなかに、中国国営企業の国家電網公司のロゴが入っていたことにはじまる。閲覧するOS(iOSやAndroidなど)によっては見えない設定となっていたため、24日頃、ネット上で指摘されてはじめて内閣府の担当部署(規制改革推進室)の気づくところとなった。
日本のエネルギー政策を議論する会議の資料に、中国国営企業が作成した資料が混在していたことから――会議への中国国営企業、または中国政府の介入を疑わせる事態に至った。ロゴの混入について、内閣府の説明が「不正アクセスの疑いがある」というものから「事務的なミス」へと変化したこと、過去には経済産業省・金融庁の資料、国連アジア太平洋経済社会委員会、EU経済社会評議会での提出資料にも同様のロゴが入っていたことなども問題への注目を高めることとなった。
「資料にロゴがあったこと」は問題の本質ではない
一連の混乱を受けて25日に行われた記者会見(上・下)ではあらためて意図しない事務的なミスであることが強調され、担当大臣である河野太郎氏も「チェック体制の不備」としている。その一方で27日になり、当該資料を提出した大林ミカ氏が再エネTF構成員を辞任するに至った。また、28日の官房長官記者会見では大林ミカ氏やその資料について「中国政府から不当な影響を受けていなかったなどの調査を行う」との発言があった。
一連の経緯に、筆者は、強い違和感を覚える。ポイントは資料にロゴが入っていたことにはない。さらには、自然エネルギー財団や大林ミカ氏個人が中国政府等の影響力下にあったか否かですらないかもしれない。
筆者は2016年から2019年まで内閣府規制改革推進会議の委員であった。再エネTFと同じ規制改革推進室が担当する会議体であることから、今次の経緯や問題点について多少掘り下げた説明ができる部分もあろう。