報・連・相どれでもまずは事実から入る
ビジネスパーソンにとって、「報・連・相(報告・連絡・相談)」は基本ですよね。「報告」「連絡」「相談」のどれを行うにしても、大事なのは「事実から伝える」ということです。
なぜなら、ビジネスの場では「事実」は「判断の材料」になっているからです。
例えば、取引先との商談から戻ってきたAさんが、上司から「商談はどうだった?」と聞かれて、こう答えたとしましょう。
「先方の反応はまずまずでした」
何が「まずまず」だったのか、さっぱりわかりませんよね。「あなたの感想は要らないよ」と言われるのがオチです。
「今日の商談には、先方のB課長も同席していました。B課長から、『この見積額で明日の部内会議にかけてみるよ』と言われました」
このように「事実」を伝えたら、どんな状況だったのか、相手にもわかります。
また、Aさんは「まずまず」だったと思っていても、上司は「あの会社のC部長は、見積の査定が厳しいから、部内会議で値下げの話が出るかもしれないな」と思っているかもしれません。その場合、「さらに値下げを要求されたときのために対策案を準備しておこう」と次の行動に展開することもあるでしょう。
ビジネスの場で大事なのは、客観的な「事実」です。「あなたはどう思うの?」と聞かれて初めて、自分の意見を伝えるくらいでちょうどいいのです。
そして、自分の意見を伝えるときには、「ここからは私見ですが」と前置きしたうえで説明しましょう。どこまでが「事実」で、どこからが「意見」なのかがわかると、相手にとってわかりやすい説明になります。
「どう思う?」と聞かれたときは事実の説明は後回し
「事実から伝える」という話をしましたが、いつでも事実から伝えるべきかというと、そうとは限りません。「○○の件について、あなたはどう思う?」と意見を求められたのなら、「先に自分の意見や解釈を伝え、その理由として事実を伝える」という順番で説明しましょう。
けれども、「事実→私見」の順番に固執していると、どうなるでしょうか。
「○○の件について、どう思う?」
「その件ですか。実は以前にこんなことがありました」
このように、事実から話し始めると、問いかけをした相手の頭には「?」が浮かぶことでしょう。「私の質問に答えてくれていない」という気持ちを、相手に抱かせてしまうかもしれません。