話の終わりが見えないと聞く人は不安になる

説明を聞く体勢になってもらうには、「いくつの内容を話すのか」を先に示すことが大事だという話をしました。もう1つ、大事なことがあります。それは、「どのくらいの時間話すのか」を示すことです。

学校の始業式などで、いつ終わるのかわからない校長先生の話を聞くのが苦痛ではなかったでしょうか。私たちは、「終わり」が見えないと、不安になるものです。

「これから5分お時間をいただいて、概要を説明致します」のように、どのくらいの時間なのかを先に示してもらえると、私たちは安心して話を聞くことができます。赤信号の待ち時間表示があることで、信号待ちのイライラが軽減されるのと似ていますね。

「ちょっとお時間いいですか」では相手を困らせる

また、「説明に要する時間」と「内容の複雑さ」は密接に関係しています。「5分程度」と言われれば、それほど大した話ではないとわかりますが、「30分」と言われると、込み入った話なのかなと思います。

深谷百合子『賢い人のとにかく伝わる説明100式』(かんき出版)
深谷百合子『賢い人のとにかく伝わる説明100式』(かんき出版)

ですから、取引先や上司など、人に報告や相談をするときは、どのくらいの時間がかかるのかを先に伝えましょう。「ちょっとお時間いいですか?」とだけ聞かれても、仕事の手を休めて聞く程度でいいのかどうか、相手は判断できないからです。

「5分ほど」と言われれば、相手は「イエスかノーで済む話かな」と想像できるので、よほど取り込み中でない限り、「今いいですよ」と言ってくれるでしょう。「30分ほど」と言われれば、相手は「このあと会議があるから、それが終わってからがいいな」「じっくり聞いたほうがよさそうだから、ちゃんと時間を作ったほうがいいかもしれないな」と考えることができます。

最後に、時間を宣言したならば、その時間を厳守しましょう。大幅に時間を超えたら、かえって相手をイライラさせてしまいますのでご注意を。

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