自分のペースで話すとかみ合わない

このようにすると、交渉相手は「この人の前ではそのままの自分を出しても大丈夫だ」と信頼感を持ち、安心します。結果として、あなたはたくさんの話を交渉相手から引き出すことができるというわけです。

逆に、あなたが交渉相手の話すスピードや声のトーンと「合わないな」と思い、自分のペースやトーンを守って話すと、交渉相手も同じように感じます。

「何か、話しにくいな」とか「伝えてもわかってくれなさそうだな」と交渉相手が思ってしまい、うまく話がかみあわないこともあるのです。

相手の身振り手振りを真似る

2 ミラーリング

交渉相手に安心感を持たせ、多くを話してもらうための手法として、ペーシングの他に「ミラーリング」という方法があります。

保坂康介『心理カウンセラー弁護士が教える 気弱さん・口下手さんの交渉術』(日本実業出版社)
保坂康介『心理カウンセラー弁護士が教える 気弱さん・口下手さんの交渉術』(日本実業出版社)

ミラーリングは、文字通りあなた自身が交渉相手の鏡となることです。つまり、交渉相手の表情や身振り手振り、姿勢などを真似るのです。

具体的には、交渉相手が悲しそうな顔をしていたら同じく悲しそうな表情をして「そうなんですね」と言ったり、相手が考えごとをするポーズをしたら、同じように考えているような仕草をしながら、「なるほど、そうですか」と言ってみるといった具合です。

これをすることで、ペーシングと同様、交渉相手はあなたに安心感や信頼感を覚えて話しやすい雰囲気になり、多くを開示してくれるようになるのです。

何より相手が心を開いてくれますから、話し合いがはじまったときの堅い雰囲気がほぐれ、あなたの考えや希望にも理解を示してくれる可能性が高まります。

ひいては、双方の妥結点をより柔軟に探ってくれるようになるのです。

話が苦手なあなたにこそ使ってほしいのが、ペーシングとミラーリングです。ぜひ自分のものにしてください。

【関連記事】
【第1回】「気弱で口下手な人」が交渉で勝つにはどうすべきか…むしろ「気弱で口下手のままでいい」といえる理由
銀座ママが「LINEを交換しよう」と聞かれたときに必ず使う"スマートな断り文句"【2021編集部セレクション】
「そうなんだー」という薄い反応が会話の温度を下げる…コミュ力抜群な人がやっている"相槌の種類"
世界の一流は「おつかれさまです」に「おつかれさまです」とは返さない…必ず加える"一言"の絶大な効果
なぜコンサル出身のエリート社長が「バカ」をするのか…「レゴランド」の顧客対応が大炎上を招いた根本原因