会社が潰れる予兆を見抜くことはできるのか。特定行政書士の横須賀輝尚さんは「オフィスの観葉植物が枯れた、掃除が行き届いていないといった“オフィス劣化”が起きている企業の方が生存確率が高いことがある」という――。
オフィスに置かれた観葉植物
写真=iStock.com/OKrasyuk
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「オフィス劣化」は倒産の前触れなのか

経営の世界では、会社の健全性を示すシグナルが多く存在します。一般的には、観葉植物が枯れている、オフィスの掃除が行き届かない、無料のドリンクコーナーがなくなるなど、日常の小さな変化が倒産の前触れであるとされてきました。

しかしながら、これはあくまでイメージの話。映画やドラマの世界では、わかりやすくこのような表現がよく用いられますが、実際の現場はそんなシンプルなものではないのです。そして、場合によってはこうしたオフィス劣化のシグナルがある方が、かえって企業の生存確率は高いことがあるのです。

それは、どういうことか。

解説していきましょう。

従業員が倒産を知るのは「発表当日」がほとんど

多くの人は、会社が倒産に向かっているとき、前掲のようなある種の兆候が現れると信じています。それは、オフィス内の微細な変化から、従業員への福利厚生の削減、運転資金の不足による支払い遅延など、さまざまな形で現れるとされています。

しかし、プロの視点から言わせてもらうと、これらの変化は必ずしも倒産の前触れではありません。実際に、破産や民事再生手続きは非常に秘密裏に行われることが多く、従業員や関係者がこれらの手続きを知るのは、実際に発表される当日であることがほとんどです。なぜなら、申立代理人弁護士の費用のほか、裁判所に納める費用が大きい。つまり、ギリギリまでは売上をつくり、1円でも多く捻出して経営を成立させていかないと破産手続きすら進められないわけです。

破産を担当する弁護士は、会社に訪問することもなく、会社とは別の場所で経営者と打ち合わせを行い、倒産の事実を知っているのは経理や財務の責任者の一部のみ。これが倒産の事実なのです。ですから、現実に起こる倒産のシグナルを察知することは、かなり難しいと言えるのです。

もちろん、こうした静かな風景の中にも破産等の手続きは進みますから、これまで管理していなかった過去の契約書の提出を求められるなど、僅かな変化はあります。とはいえ、こうした変化をキャッチすることは、決して簡単ではないのです。

では、一方で観葉植物が枯れる、掃除が行き届かなくなるなどのオフィスに起こる「倒産の予兆」的なシグナルはどう考えれば良いのでしょうか。