大きなシグナルは「経営者自身」に現れる
それでもなお、シグナルを探すとなれば、オフィス環境よりも経営者自身に「倒産」のシグナルが現れることが顕著です。いくつか事例を挙げてみましょう。
こうしたシグナルは、兆候そのもので判断するのではなく、経営者の前後の変化を見ることがポイントです。例えば、「経営者の服装がだらしなくなってきたら、その会社は危ない」などという見方がありますが、普段からだらしない格好の経営者もいるわけで、必ずしもある時点での経営者の服装だけでは判断できないわけです。重要なのは「変化」。普段からパリッと糊の効いたシャツにしわひとつないスーツを着ていた経営者のシャツやスーツがヨレヨレになる、しわくちゃになる……というのは、何かの変化を表している可能性が高いと言えます。
ほかにも、いつも傲慢で他人の意見など聞かなかった経営者が、税理士や経営コンサルタントの意見を素直に聞くようになった。これも経営悪化から自信をなくしている証左なのかもしれません。
危険な会社の経営者とは「連絡が取りにくくなる」
会社が傾き始めると、人間関係も変わります。普段来訪することのない行政書士や司法書士なんかが来社するようになったら、資産の名義変更を相談しているのかもしれません。あるいは、普段は取引のない金融機関やそれに準じたビジネスローンを取り扱う事業者が現れたら、やはり怪しいと言えます。
そして何より、危険な会社の経営者とは、徐々に連絡が取りにくくなっていきます。経営者も人間です。金策に追われていれば、だんだん人と連絡を取りたくなくなるもの。いつもはすぐに電話に出てくれる経営者が、電話に出ず折り返しになる。そしてその折り返しもなく、メールやチャットのみになる。そして最後は既読もつかず、連絡すらつかない……。
と、最後は少し極端な例でしたが、実際に起こっている事例です。このように、会社の倒産シグナルは、オフィス環境よりも経営者自身に変化として現れると知っておくと良いでしょう。