絶対権力者・大崎前会長が去ってから変わった

「なぜ今、誰がこの情報をリークしたのかはわからないが、昨年4月に“ドン”といわれた大崎洋会長が辞めたことと無関係ではない」

絶対権力者であった大崎前会長と岡本昭彦社長の関係が、微妙に変化してきているというのである。

それは、今回の文春の記事への対応を見ればよくわかるというのだ。

週刊新潮(2月8日号)も、文春記事が出た直後、吉本は「当該事実は一切なく、(略)厳重に抗議」するとしていたが、今年1月24日に吉本が公表した見解では、「当事者を含む関係者に聞き取り調査を行い、事実確認を進めている」と、大きく軌道修正したと報じている。

新潮によれば、

「(最初の発表が=筆者注)あんな内容のコメントになったのは、記事に激怒した松本が“事実無根と言うとけ”と言い、それに会社側が従ったからでしょうね。松本から“それでええねん”と言われたら、岡本社長は黙るしかありません。吉本における立場は、岡本社長より松本の方が圧倒的に上ですから」(吉本興業元幹部社員)

さらに岡本社長を引き上げてくれたのは松本とピッタリの大崎前会長だったから、岡本社長はものをいえる立場ではなかったようだ。

「松本離れ」が明確になっている

だが、その庇護者であった大崎氏は、相談役として名前を残すこともなく、吉本興業から完全に離れてしまったのである。先の関係者は、そこに“不可解なもの”を感じるという。

かつて吉本興業所属の中田カウスと暴力団との親密交際について報じられた時、吉本はカウスに対してほとんどお咎めなしだった。

島田紳助に暴力団幹部との親密交際が発覚した時も、紳助が自分から引退会見をするまで、吉本は“静観”していた。

今回、最初は松本のいいなりだったとしても、2度目は明らかに松本離れを明確にしている。文春(2月1日号)によれば、松本が文春を訴えるに至った経緯も不可解だ。

内幕を知る吉本関係者がこのように明かしている。

「提訴したのは、吉本興業ではなく、松本さん自身。当初、彼は別の弁護士にオファーを出していましたが、『勝算がない』と次々断られ、最終的に田代(政弘=筆者注)弁護士に白羽の矢が立ったのです。彼は、陸山会事件で捜査報告書に虚偽の記載をしたとして、虚偽有印公文書作成及び行使罪で告発され、検察官を辞職した人物です」

苦労した末の弁護士選びだったようだ。