吉本の万博関連事業の受注額は41億円にも
トップシークレットであるはずの松本人志の性加害疑惑情報が文春に流れ、大崎前会長が関係を強化してきた日本維新の会との“蜜月”関係も文春(2月8日号)が報じたのである。
大崎氏は現在、延期または中止の声まで出ている関西万博の催事検討会議の共同座長を務めている。性加害疑惑が出るまで松本人志もアンバサダーを務めていた。
私が知る限り、大崎氏は菅義偉前首相と親しく、その縁で安倍晋三元首相に食い込み、そこから維新とのつながりを深めていったようだ。だが、今や、その蜜月ぶりはただ事ではないといわれているようだ。
「実は、万博への立候補表明から七カ月後の十七年十一月、吉本と大阪市は『包括連携協定』を結んでいます。この協定を主導したのが、当時社長だった大崎氏。吉村市長(当時)と会見に臨み、『大阪の魅力を、日本中、世界中に発信することにご一緒する』と述べていました」(吉本幹部)
2023年に請け負った「『大阪文化芸術祭(仮称)』の実施にかかる企画・運営等業務」はJTBとのJVで、受注額は約19億9000万円にもなり、文春の調べによると、こうした幅広い事業の受注額を総合すると、実に41億円に及ぶというのである。
味方を失った松本はどうするのだろうか
「自治体ビジネスは水物の舞台でのお笑いより、中長期的に安定的な売上高が見込めるうえ、社のブランドイメージ向上にも繋がる。そこが、大崎氏の“目論見”でした」(同)
しかし、一心同体だった松本人志のスキャンダルが報じられ、万博が延期か中止になれば、大崎氏の描いていた“野望”は潰えるかもしれない。
こう見てくると、今回の松本人志スキャンダルは、ジャニー喜多川事件と同様の構造を持っていることがわかる。
文春報道が事実だとすれば、松本人志のやっていることはトップシークレットだったとしても、吉本興業に所属している芸人たちが関与していたというのだから、知っていた人間は何人かはいたはずである。
しかし、それを口外したら吉本にいられなくなるから、皆口を噤んでいたのではないか。
松本人志性加害疑惑の根は深く、吉本興業全体の構造的な問題に発展しかねないのだ。そのために吉本興業は、松本擁護には回らずに切り捨てる方向へと大転換したのではないのだろうか。
自分が牛耳ってきたと思っていた吉本興業から距離を置かれた松本人志が、このまま黙っているのか、大崎氏と一緒に吉本興業に反旗を翻すのか。
文春が報じた松本人志スキャンダルは、新しい段階に入ったように思う。