過去形はなぜか後悔を促すような言い方になる
× よろしかったでしょうか
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○ よろしいでしょうか?
デパートでネクタイ、ハンカチ、ブレザーを買いました。それぞれ、たくさんの種類の中から選んで、会計をしようとしたときです。
「こちらでよろしかったでしょうか?」とレジの店員さんに言われました。
こう言われると、自分が選んだものが本当にこれでよかったのかどうか、なんだか心配になってしまいます。
これに対して「よろしいでしょうか?」と言われると、もう一度、きちんと確かめて、「はい!」と言いたくなります。
この二つの言葉の違いは「よろしかった」と「よろしい」です。過去形で話されると、日本語は、なぜか後悔を促すような言い方になるものなのです。
それは、過去形で許可や同意を求めた結果、聞かれたほうは、何か問題や不都合があったのではないか、という懸念が生じるからでしょう。
たとえば、デートで外食するとき「おいしかった?」と聞かれると、このレストランでよかったのか、他にも選択があったのではないかと思ってしまいます。
相手を不安にさせないためには、「よろしいでしょうか?」「おいしいでしょうか?」など、現在形での会話をするように気を付けましょう。
同じ組織に属している者には敬語を使わない
× A部長はお休みをいただいております
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○ Aは休みを取っております
取引先など、社外からの上司への問い合わせに対して、「○○さんは、今日は、お休みをいただいております」と答える人がいます。
韓国語では、目上の人に対してはどのような場合でも、尊敬語を使うという決まりがあるので、「部長は、お休みをいただいております」というのが正しい言い方ですが、日本語の場合は間違いです。
自分と同じ組織に属している者に対しては、敬語を使わないというルールがあります。
まず「お休み」の「お」は丁寧語ですから外しましょう。
「いただいております」も「もらう」の謙譲語ですので外してください。自分の会社に届け出て休むのですから「いただく」という言い方は、相手に対して失礼にあたります。
電話などで、このような問い合わせが来たときには、「本日は不在にしています」とか「今日は休みを取っております」と言ってください。