「ご質問ください」が丁寧で親切

「伺う」の敬意の対象に気を付ける
× 担当部署で伺ってください

○ 担当部署でお尋ねください

「わからないことがあるから、ちょっと課長に聞いて来るね」と、仲の良い同僚との間では、このような会話が聞かれます。みなさんは上司に質問をするとき、まずどのような言葉をかけますか?

「課長、少々、不明な点があるので、伺ってもよろしいでしょうか」と言う人が多いのではないでしょうか。「聞いてもいいでしょうか」では、課長に対して失礼な言い方になります。

「伺う」という言葉は、「聞く」「尋ねる」の謙譲語です。つまり、自分からへりくだって、相手を立てるときに使います。

さて、このことから、顧客や取引先の人からある質問を受けたとき、「その件については、担当部署で伺ってください」と返答するのは、身内の担当部署を敬った言い方になってしまうので、日本語としては間違っていることがお分かりかと思います。

まるで「へりくだれ!」と命令されているような印象を相手に与えてしまうかもしれません。

こんなときは、「担当部署におつなぎしますから、そこでお尋ねください」あるいは「担当を呼びますので、直接お尋ねください」「ご質問ください」と言えば、丁寧で親切な言い回しになります。

尊敬の意が周囲にも伝わり、上司を立てることにもつながる

上司や先輩の意見を聞き出したいとき
× どうしますか?

○ どういたしますか?

昔のマンガで、社員が「どうします?」を丁寧語で「どうしますでございますか?」と言って、社長に「敬語の使い方がなっていない」と叱られるシーンが描かれていました。

友だち同士であれば「どうする?」で済みますが、いざ、丁寧語で言おうとすると、咄嗟とっさに正しい言葉が出てこないという人も少なくないのではないでしょうか。

「する」の丁寧語は「します」、謙譲語は「いたす」、尊敬語は「なさる、される」です。

つまり、「どうしますか?」は、丁寧語の表現にあたるので、親しい上司で二人きりの場合など、他にたくさんの上司や部下がいないときには使ってかまいません。

ただ、たくさんの人がいる場合、上司に、どうするか、という意向を聞きたいときには、「どうなさいますか?」あるいは「いかがなさいますか?」と聞くと、尊敬の意が周囲にも伝わり、上司を立てることにもつながります。

オフィスで指導する女性
写真=iStock.com/monzenmachi
※写真はイメージです

さらに、「この状況で、自分がどういう行動をすればいいのか」を上司に尋ねたい場合には、「どういたしますか?」「どういたしましょうか?」と言うといいと思います。繰り返しにはなりますが、これも、自分をへりくだって言う、謙譲の表現です。