松本への恩義と性加害疑惑は別だと指摘したベテラン芸人
吉本興業に50年以上所属するベテランの西川のりおは、さらに達観している。1月30日の「生島ヒロシのおはよう定食」(TBSラジオ)で、「野球でも芸能界でも必ず新しい人が出てきます」「だから逆に新芽も吹いて来るんじゃないですか?」と、松本人志なき後のお笑い界のリフレッシュをイメージさせる、前向きな発言をした。
また西川は、後輩芸人らの松本擁護に苦言を呈す。「『お世話になった』とか『なってない』っていうのはね、本人の問題でこの話に関係ない。論点を間違っている」。松本への恩義と性加害疑惑はレイヤーの異なる問題だ、そこを混ぜるな、という指摘である。
60歳の松本人志の疑惑について、51歳のホリエモンや53歳のTMレボリューションよりも、72歳の西川のりお、77歳のビートたけしのコメントのほうがよほど現代的な感覚に裏打ちされているように見える。それだけ松本人志は、特定の年齢層の人間(特に男性)にとって影響力、または権力が大きいのかもしれない。
であればこそ、彼を起用する側のテレビ局やスポンサーは、疑惑が真実なのか調査結果を待つべきだろう。この件で取り沙汰されている他の芸人や放送作家たちについても調査が必要だ。2月2日夜にも「人志松本の酒のツマミになる話」(フジテレビ系)は予定どおり放送される。いまだに松本の名を冠した番組、また彼が出演する収録済みの番組はなんのエクスキューズもなく放送されているが、はたしてその扱いで適切なのだろうか。
指原莉乃は「被害女性を責めるのはセカンドレイプの一種」
年明けの「ワイドナショー」では松本擁護発言が相次いだと前半に書いたが、実は文春報道直後の2023年12月29日の同番組では、指原莉乃がこう語った。
「女性がついていったのが悪いんじゃないかって(……)一種のセカンドレイプなんじゃないか」「8年前の(もう昔の)ことっていうニュアンスも私はすごくよくないふうに感じていますね」「被害者とされる方に常に寄り添ってもらえるような雰囲気になったらいいのに」これらのコメントはSNSでは女性を中心に高く評価されていた。しかし彼女はそれ以来、同番組には呼ばれていない。
このように日本の芸能界には、自分の言葉で語るタレントがいるのだ。また、ビートたけし、上沼恵美子、西川のりお、トミーズといった大御所・ベテランは、松本人志の対応のまずさを指摘し、これが実質的な引退ではないかと見ている。こういった感覚こそが、いまの「世の中」の中央値のように感じる。