認知症の原因は「加齢」とは限らない。薬剤師の鈴木素邦さんは「薬によって認知機能が低下する『薬剤性の認知症の症状』が存在する。特に高齢者はこうした薬を避けたほうがいい」という――。

※本稿は、鈴木素邦『その一錠があなたの寿命を縮める 薬の裏側』(総合法令出版)の一部を再編集したものです。

薬物が原因で発症するケースも少なくない

高齢化社会を本格的に迎えるにあたり、重要な課題になっているのが認知症の患者さんの増加です。

福岡県久山町の縦断調査をもとに、認知症有病率が2023年と変化がない場合、2025年には認知症患者が675万人になることが予想されています。

認知症とは、さまざまな脳の病気により、脳のニューロン(神経細胞)の働きが衰え、記憶力や判断力などの認知機能が低下して、日常生活に支障をきたした状態をいいます。

実は認知機能低下は、薬物が原因で発症するケースも少なくないのです。

認知機能低下は薬物が原因で発症するケースも少なくない
写真=iStock.com/byryo
認知機能低下は薬物が原因で発症するケースも少なくない(※写真はイメージです)

副作用で認知機能が低下する薬

日本老年医学会が調査し、高齢の患者さんに認知機能低下を引き起こしやすい薬剤の中でも、特に根拠のレベルが高い薬剤をご紹介します。

・三環系抗うつ薬

代表的な薬剤は、アミトリプチリン(トリプタノロール)、クロミプラミン(アナフラニール)、イミプラミン(トフラニール)などの薬です。

これらの薬は副作用として認知機能低下が報告されているため、可能な限り使用を控えることが良いとされています。