私の教室の生徒さんも、「痛いのが当たり前だったのに数年ぶりに痛みのない体になれた」(50代・女性)、「坐骨神経痛もしびれもなくなって腰痛も解消された」(40代・女性)、「整体師さんも困ってしまうほど固かった体が、スムーズに動かせるようになった」(40代・女性)など、背中をゆるめたことで生活の質が大きく向上しています。

この記事では、背中をゆるめることで得られる3つの大きなメリット「呼吸の質が上がって血行が良くなる」「ぐっすり眠れる」「体重を減らさなくてもスリムになれる」について紹介していきます。

浅く、速くなった呼吸を改善できる

背中が固くなると、呼吸が浅くなってしまいます。呼吸が浅くなると、肺に酸素を十分に取り込めないので、体内の酸素量が減少します。疲れやすさ、冷え、集中力の低下、自律神経の乱れなどを引き起こします。呼吸の質を上げるためには、「深い呼吸」が大切です。しっかり息を吐いて、深くたっぷりと吸う。このためには、筋肉をゆるめる必要があります。

胸に手を当てる女性
写真=iStock.com/AH86
※写真はイメージです

呼吸について説明します。呼吸というと、「肺が広がったり縮んだりする」と考えがちですが、肺そのものが勝手に動いてくれるわけではありません。肺の周辺にある筋肉(呼吸筋)の動きによって、呼吸は行われています。

人の肺は、胸椎きょうついや肋骨、胸骨きょうこつ、横隔膜などで囲まれた「胸郭きょうかく」と呼ばれる骨組み状の箱の中におさまっています。その内側の空間を「胸腔きょうくう」と呼びます。胸腔が広がったり縮んだりすることで呼吸活動が行われているのですが、胸郭を動かしているのが、呼吸筋なのです。

呼吸筋が固くなって動きが悪くなると、胸郭はうまく広がらなくなります。呼吸筋として代表的なものの一つに、肋骨の周辺にある「肋間筋ろっかんきん」があります。肋間筋は、肋骨を取り囲むようにぐるりと背中側にもついているので、背中の筋肉が固くなると、肋間筋のスムーズな動きをさまたげてしまい、肋骨がうまく広がらなくなります。

鼻から吸って口からフーッとラクに吐くだけていい

そうすると、もう一つの代表的な呼吸筋「横隔膜」の動きも制限されます。こうして胸郭が広がらなくなると、無意識のうちに呼吸は浅く、速くなります。筋肉はピンポイントで固くなるのではなく、引っ張り合い、連動しています。背中にある、大きな筋肉をたくさん動かしてゆるめることで、胸まわりの筋肉や呼吸筋をゆるめることができるのです。

「背中をゆるめる」→「呼吸の質を上げる」という説明をしてきましたが、実は逆のことも言えます。つまり、深い呼吸を意識することによって、背中をゆるめることもできるのです。呼吸が深くなると、酸素の供給量が上がります。筋肉にも酸素がしっかりと届くので、筋肉の柔軟性が上がって動きやすくなります。呼吸によって背中の筋肉がゆるみ、筋肉がゆるむことでさらに呼吸が深くなる……。良い循環が生まれます。