※本稿は、ケリー・ターナー『がんが自然に治る10の習慣』(プレジデント社)の一部を再編集したものです。
アメリカでは週150分の中程度の運動が推奨されている
私たちは生きている限り、身体を動かさなくてはなりませんし、運動は私たちをより健康にしてくれることがわかっています。1996年には、運動不足が国民的な健康危機を引き起こしていることを懸念したアメリカ公衆衛生局の長官が、運動が健康にいいことを示す、数十年にわたる研究をまとめた複数の研究機関の報告書を発表しています。
どんな運動でも、やらないよりはましです。2008年に発表された公衆衛生局の長官による二つ目の報告書では、さらに一歩踏み込み、6歳以上のすべてのアメリカ人が運動により本質的な健康効果を得るために、週150分の中程度の運動、または週75分の激しい運動のいずれかをするよう推奨しています。
2018年に発表された第三の報告書「アメリカ人のための身体活動ガイドライン」では、あらゆる人種や民族の男女、幼児から高齢者、妊娠中や産後の女性、慢性疾患や障害を抱えている人、慢性疾患のリスクを減らしたい人など、すべての人の健康は身体活動によって改善されると結論付けました。さらに、慢性疾患や障害(がんなど)を持つ成人は、何としても運動不足を避け、何ができるかを医師に相談すべきであると述べています。
運動はがんの再発や死亡リスクを低減させる
がん患者にとって最も興味深いのは、運動が特定のがんの再発や死亡のリスクを低減させることを示した数多くの研究でしょう(※1)。これらの研究では、運動が乳がんや大腸がん、前立腺がん、子宮体がん、卵巣がん、肺がんの死亡リスクを大幅に低下させることがわかっています(※2)。そのうちの一つでは、自転車やテニス、ジョギング、水泳などの適度な運動を週3時間以上することにより、前立腺がんの男性の生存率が大幅に改善することがわかったと結論付けています(※3)。
別の研究では、乳がんの女性が週に1時間だけ、平均時速2~3マイル(時速約3~5キロメートル)のペースで歩いた場合、身体活動の少ない女性に比べて、乳がんによる死亡リスクが最大49%低下することが示されました(※4)。
大腸がん患者を対象とした大規模な研究では、余暇の身体活動(テニス、ゴルフ、自転車、水泳、ガーデニング、早歩き、ダンス、エアロビクス、ジョギングなど)をしている人は、していない人に比べて死亡リスクが31%低く、これは診断前に運動していたかどうかには関係ありませんでした(※5)(現在、運動をしておらず、望みがないと思っているかもしれない人々にとって勇気づけられるニュースです)。
これらの研究やそのほかの多くの研究は、がんで死亡する確率を大幅に減らしたいのであれば、理想的には毎日、身体を動かす必要があることを示しています。