世界の数学者たちが驚愕した「志村-谷山予想」
2人の日本人がフェルマーの最終定理とまったく関係ないところで、方程式の問題と不思議な絵がつながっているのではないかという「志村-谷山予想」と呼ばれる問題を世に送り出したということだけ覚えておいてください。
この発見を何かに例えるなら、ピラミッドで発見された壁画とまったく同じものが、なぜかシベリアの永久凍土の地下からも発見されたような驚き、そんな感じです。
しかし、そのくらいの驚きだったので、志村-谷山予想が本当に正しいのかどうかについては、欧米の数学者たちはみんな半信半疑だったそうです。
そして、残念ながら志村と谷山は自分たちの予想の正しさを証明することまではできませんでした。志村-谷山予想は未解決のまま残されることになったのです。
数学史上最大のミステリーを解決したアイデア
ところが、1986年、これまためちゃくちゃ意外なことが発見されたのです。
志村と谷山はフェルマーの最終定理とはまったく関係のないところで研究していたと書きました。
ところがなんと証明されないまま残っていた志村-谷山予想が、フェルマーの最終定理と結びつくことが、アメリカのケン・リベット博士とイギリスのゲルハルト・フライ博士によって発見されたのです。
この2人の発見により、志村-谷山予想が正しいと証明できれば、フェルマーの最終定理もまた正しいことが証明できるという事実が明らかになったのです。
そして、イギリス人数学者のアンドリュー・ワイルズ博士が志村-谷山予想の証明に乗り出します。幼い頃から、フェルマーの最終定理を解くことを夢見てきた数学者です。ところが、志村-谷山予想は、どこから手をつければよいかわからないほどの超難問でした。
それでも1995年、ついにワイルズ博士はリチャード・テイラー博士と共に証明を完成させたのです。
フェルマーの最終定理の誕生からおよそ350年。数学史上最大のミステリーは解決したのです。