週の43%を社内会議に費やしている現状
初速が遅れてしまう原因の1つは、自分が「良かれ」と思ってやっていた作業が、実はムダだった……ということがよく起こるからです。
「社内の常識は非常識」というケースは意外にたくさんあります。
仕事というのは、常に「チェックの目」を持っていないと、次々と増えてしまう性質を持っていますから、気がついたら「残業沼」にはまり込んで、自宅に持ち帰って作業を続ける……という状態が、すぐにでき上がってしまいます。
私の会社では、仕事の効率を高めるために、「社内会議」を禁止しています。
17万3000人に行ったアンケート調査によって、現代のビジネスパーソンは1週間の労働時間の実に43%を社内会議に費やしていることがわかりました(図表1参照)。
週休3日制、1週間30時間の労働時間で働いていますから、社内会議に多くの時間を使ってしまうと、実作業に当てる時間が大幅に減ってしまいます。
「社内会議はあって当然」と思い込んでいる人も多いと思いますが、実際にはメールやチャットを使えば不都合はありません。
初速を上げるというと、作業を早く進めることばかりに目が向きがちですが、自分が抱えている仕事を冷静に見つめ直して、「やめる覚悟」と「手放す勇気」を持つことが大切です。
仕事を効率的に進めるためには、「引き算」が圧倒的な効果を発揮します。
「この仕事はゼロにできないか?」という視点を持って、ムダな仕事は可能な限り減らしていく工夫を続けることが、初速を早めることになります。
1カ月分の時間を取り戻す方法
私の会社では、クライアント企業に対して、「毎週金曜日の午後3時から、15分だけ1週間の振り返りの時間を作る」ことを推奨しています。
スマホのカレンダーやスケジュール帳に予定として組み入れ、その時間が来たら、作業を中断して、コーヒーでも飲みながら1週間の仕事を冷静に見つめ直してもらっています。
「今週も会議が多かったな」とか、「提案資料が通らなかったな」など、その週の仕事に関するものなら、どんなことでもいいと思います。
たった15分のことですが、これを実施した結果を追跡調査すると、「ムダ」と気づいた仕事の13%を実際にやめられたことがわかりました。
わずかな数字と思うかもしれませんが、1週間の労働時間が37.5時間としたら、13%は約4時間に相当します。
年間50週以上はあるので、ムダな仕事をやめたら、1年で200時間も削減できることになり、丸々1カ月分の時間を取り戻すことができます。
その1カ月分の時間があれば、もっと多くのタスクを手がけられ、休むこともできますから、今よりも「身軽」な状態を作り出すことが可能になります。
「時間をかけてパワポで派手な資料を作ったけど、本当に効果があったのかな?」
「会議のための打ち合わせは、絶対に必要だったのだろうか?」
日常の仕事に関する問題点は、振り返ることによって、初めて浮き彫りになります。
あえて先に振り返りの時間を作っておけば、その時点での修正点が明らかになりますから、ムダを省けるだけでなく、道に迷うことがなくなります。
1週間を振り返ることによって、ムダな時間を見つけ出し、それを自分のスキルアップの時間として使えば、新たな可能性を切り開くことができます。
・身につけておきたい思考法を勉強する
・新たなITツールにチャレンジする
毎週末のわずか15分のことですから、あらかじめスケジュールに入れておけば、無理なく実践できるテクニックだと思います。