医療受診をすべきかの判断、状況の整理整頓
こんにちは。産業医の武神です。私のクライエントの外資系企業の多くは、毎年11~12月頃にパフォーマンスレビュー(個人の業績評価)があり、その年のボーナスの金額が決まります。ちょうどこの頃に産業医面談で増えてくるのが、自分のパフォーマンスに関する不安や悩みの相談です。昨年末もいろいろな悩みが寄せられました。
今日はそのような時に、どんな話をして、どんな質問をするかについて、解説させていただきます。
このような面談において私は、いきなり質問をするのではなく、まずは社員の訴えに共感を示すことを意識しています。
そして、不安を抱える社員たちの緊張をほぐしながら、2つのことをやっていきます。
1つめは、何らかの症状の有無の確認と、症状があれば専門医にかかるべきか否かの判断です。相談者の多くは、医療受診するほどの症状がないことがほとんどです。
2つめが状況の整理整頓です。これが、産業医としての面談の中心となります。何がわかっていて、何がわかっていないのか。いずれも主観(感情)なのか、ファクト(事実)なのか。不安の根拠は感情的なものなのか、それとも何か原因となることがあったのか。過去に似たようなことはあったか、あったならばその時はどう対処したらうまくいったのか。最悪のシナリオは? そしてそれへの対処は? などを確認します。
質問ばかりしていると尋問みたいな雰囲気になってしまいますので、そうならぬよう雑談をしながら、このようなことを確認させていただいています。
「先生、やばいです。今期のノルマに届かないんです」
では具体的なやりとりを解説させていただきます。
このような時、まず確認することは、これが本人の主観(気持ち)だけなのか、実際に数字など客観的データとしてそういえるのか、です。
気持ちの問題であれば、その不安や恐れはどうして出てくるのかを探っていきます。
数字としてノルマに届かない場合は、目標に対して現在何%くらいなのか、達成の期限はいつか、今から達成するのは非現実的なのか、などを面談者と一緒に確認します。
この時に大切なのは「同僚たちはどうなのか」です。同僚たちは達成している中で自分だけがダメなのか、それとも、マーケット(景気)が悪くてある程度は仕方ないことなのか。