「復職前のように働けている実感が持てません」

メンタル休職から復職した面談者の場合はどうでしょうか。

面談者:「先生、私、復職して3カ月たちますが、まだまだ全然以前のように働けている実感が持てません」

このような時は、上司に具体的に言われていても言われていなくても、積極的に上司とお話をすることをお勧めしています。しかし、その前に、以下の数字を面談者に聞いています。

1.休職前に比べて、今は何%くらいの仕事量を任せられていると感じているか。

2.任せられた量を100%とすると、そのうち何%くらいをちゃんとできていると感じているか。

3.周囲の同僚たちと比べて、今の自分は何人前か。

面談者には、上司とのミーティングの時には、上記の質問をまずはしてみて、その数字と自分の思っていた数字の差をもとに、より具体的な話をするようにお願いしています。

面談
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「数字」に落とし込むことで見えることがある

もちろん、仕事量を数字に落とし込むことが難しい場合も多々あります。しかし、感覚的でいいので、数字に落とし込むことによって、見えてくることがあるのです。

例えば、上司は以前に比べて50%程度の仕事を任せていると思っている時、面談者本人が、以前に比べて80%が任されていると感じているならば、いっぱいいっぱいなのだろうと推測されます。以前に比べて30%程度しか任されていないと感じているのであれば、面談者は上司が思うより回復してきているのでしょう。もちろん、ベストは両者が同じ(近い)数字にあることです。

任せた仕事の何%をちゃんとできているのかという点については、両者が同じ(近い)数字にあることが産業医としては一番安心です。上司の答えの数字が、面談者の答えの数字よりもだいぶ上の場合、面談者自身の自己評価が低い(すなわち自己肯定感が低い)のかと心配になります。上司の答えの数字が低いにも関わらず、面談者の答えの数字が高い場合、面談者はきっと客観的に自己評価をできておらず、このままでは職場でのサポートも受けにくくならないか心配になります。