総合感冒薬は治癒を早めない

一方、風邪をひいてしまったらどうするのがベストでしょうか。風邪に治療薬はなく、症状を和らげる対症療法しかありません。風邪の原因となりうるウイルスは200種類以上もあるといわれているため各種に対応するのは困難ですし、自然に治るので対応する必要もありません。

風邪の対症療法にもっともよく使われるのは、風邪薬(総合感冒薬)でしょう。よく「早めの(風邪薬名)」なんて宣伝されていますが、つらい症状をやわらげる効果はあるものの、風邪を予防したり早く治したりする効果はありません。風邪が自然治癒するまでの間の苦痛を減らすための薬です。ですから、症状が軽ければ薬を飲まなくてもかまいません。薬には一定の割合で副作用が生じますので、そのリスクに見合っただけの利益があるときに使うべきなのです。

市販薬でも処方薬でも総合感冒薬には、解熱鎮痛剤や抗ヒスタミン剤などの複数の成分が配合されています。一剤でさまざまな症状への効果が期待できるのは利点ですが、症状によっては必要のない成分まで同時に摂取することになるのが欠点です。つらい症状に効かせる最小限の薬で済ませるのが臨床医としてはスマートだと考えます。風邪に対して3種類も4種類も薬を処方するのは、あまり好ましくありません。