「非自民・非共産」勢力は必ずまた失敗する
維新や国民がこの状況を打開するには、立憲民主党と国民民主党を分裂させて「非自民・非共産」勢力の結集を図り、新たな野党の「大きな塊」を作るしかないだろう。国民民主党を離党して、新党「教育無償化を実現する会」を結党した前原誠司氏が目指しているのは、おそらくこの形だ。6年前に自らが深くかかわった「希望の党騒動」の再現である。
だが、7年前に失敗したことが今回成功するとは、筆者にはとても思えない。
野党再編を成功させるには、主導する側に今の立憲を上回る求心力が必要だ。希望の党騒動の時の小池百合子東京都知事のような分かりやすい存在は、今回はいない。昨春ごろまでは勢いのあった維新も、大阪万博問題で陰りが見える。そもそも、立憲自身に分裂の芽がみられない以上、現時点での野党再編は絵に描いた餅に過ぎない。
維新、国民に迫る「分裂の危機」
維新と国民民主の両党は、立憲に「のみ込まれる」ことを覚悟で野党の立場を明確にできなければ、いずれ分裂の危機に陥る可能性がある。現に国民民主は一足早く「与党か野党か」のスタンスを突きつけられて分裂した。以前にも指摘したが、再分裂の可能性は否定できない。そして、その波は近い将来、維新をも襲うかもしれないのだ。
立憲の岡田克也幹事長は、昨年12月28日の記者会見で、次の衆院選で政権交代を目指す考えを明確にした。かつて同党が「次期衆院選で議席を伸ばし、政権交代は次の次の選挙で」と発信していたことについて「その考えは捨てている。立憲民主党が前に出て政権を目指す」と語った。立憲にとっても、時間をかけて野党を育てる悠長な考えが、もう許されない状況になったということだ。
状況が劇的に変動している今、問われているのは自民党だけではない。次の衆院選をどうやって「政権選択選挙」に持ち込むか、そして実際にどうやって自民党から政権を奪い、その後安定した政権運営につなげていくのか、野党各党の執行部、そして全ての所属議員が問われている。
彼らが今年、どんな政治的選択をするのか、興味深く見守りたい。