花粉症、近視の人は網膜が簡単に破けてしまう
アレルギーがあって目をこする人と、パンチを浴びるボクサーに、同じ目の障害が起こるのか? 疑問に思うかもしれませんが、目をこすることの1回の外傷力は小さくても、数千回や数万回も目をこするうちに、ボクサー同様に目は大きく傷ついてしまうのです。
アトピー性皮膚炎の患者さんには、若い人でも白内障や網膜剥離だけでなく、「円錐角膜」という角膜の異常も起こりやすい傾向があります(円錐角膜とは、目を常にこすることで、角膜の線維の梁構造が壊れてしまい、弱くなった角膜部分が眼圧で外に出っ張ってしまう状態のこと)が、それもこの「こすってしまう」習慣ゆえです。
また、アレルギーがない人でも、強度近視の症状がある人は、目が長く伸びた状態になっているため、網膜周辺部が伸ばされて薄くなっています。目がかゆいからとこするだけでも、薄い網膜は簡単に破れ、網膜剥離になる人もいるのです。
花粉症のハイシーズンには多くの網膜剥離の患者さんが来院します。そしてその多くが、アレルギー性結膜炎で目をこすったくらいで網膜剥離になるなんて、と驚きます。
とにかく、目は「豆腐のように」扱うこと。こすってはいけません。