子どもを見て内斜視かも? と思ったら眼科へ
ただし、子ども時代は眼軸が短いので遠視であることが一般的です。しかし、遠視が強すぎると、それを調節しようとして、より強く、水晶体を膨らます調節をします。この調節は近くを見る行為なので、調節と同時に目を内側に寄せる輻輳反射が起きます。
このために、通常より強い調節によって、内側に向くのもより強くなることで内斜視となります。これを、「調節性内斜視」と呼びます。
このような調節性内斜視はメガネで治せるので、内斜視手術をしてはいけません。
しかし、学校の視力検査では遠視を見落とすことが多い。子どもで著しく集中力がないとか、近くを見ていて内斜視が起きたなどがあれば、眼科で正しい視機能検査を受けてください。
繰り返しますが通常、小児では眼軸が短くて「遠視」の目です。これが成長に従って眼軸が伸びて遠視が軽くなります。
成長につれて眼軸が伸びるのは、一般的に6歳から12歳の間です。つまり小学校時代に眼軸が伸びることで近視化し、通常は思春期頃までに治まります。
近視の子どもが増えている根本原因
子どもの目の話を続けますが、近年の子どもたちの近視化率は、我々の子ども時代の約2倍以上です。
原因となっている社会的要因で注目すべきは、子どもたちが太陽光の下で十分に活動しないことです。
昭和の子どものように外でみんなで遊んだり、運動したりすることなく、近年の子どもたちは、小学生のうちから家の中で過ごしたり、塾に行ったりしている。それが、近視が増えている大きな原因です。
目の組織の多くは膠原線維という線維でできています。この膠原線維は太陽の紫外線や紫青の短波長可視光線を浴びて、太くなったり、互いにくっついて束になったりして、眼球が硬くなります。眼球が硬くなれば、眼圧で伸びにくくなり近視化も防げます。
太陽光を浴びる時間が短ければ、膠原線維が細く弱いために、眼球の圧力によって、目がどんどんと伸ばされてしまうのです。
近視を予防するために、6歳から12歳の間は、毎日2時間は外で太陽光を浴びるよう、大人が気をつけてあげるのが望ましい。子どもは大人と違って代謝がよく、体内の抗酸化物質が豊富なので、太陽光の紫外線の問題はあまりありませんから、子どもの外遊びにサングラスの必要はありません。