アルコールがぜんそくの症状を悪化させることがある

【アルコール】

日本人は、体内でアルコールを分解する際に発生する毒物「アセトアルデヒド」を分解する酵素が欠損していたり、不完全な人が多いといわれています。このような人が飲酒をすると、アセトアルデヒドによって顔や全身が紅潮したり、動悸どうきが起こります。同様に、気管支の粘膜もむくむため、ぜんそくの症状が悪化することがあります。また、アセトアルデヒドには、アレルギー反応を引き起こす働きもあり、ぜんそくの症状も悪化させてしまいます。赤ワインなどに含まれる防腐剤によって気管支が収縮し、悪化することもあります。とはいえ、コントロール(後述)次第では少量の飲酒なら可能な場合もあります。治療中でどうしても飲酒の機会があるという方は主治医に指示を仰ぎましょう。

「健康な人とほぼ変わらない日常生活」を送ることは可能

成人ぜんそくは完治が難しい疾患であるとご説明しましたが、その大部分は、薬を適切に使用し、自己管理を行えば、健康な人とほぼ変わらない日常生活を送ることが可能です。ぜんそく症状を適切な薬物療法と自己管理で改善することを「ぜんそくをコントロールする」といい、症状がまったく出ない状態を「コントロール良好」といいます。良好とは、昼夜問わずぜんそく症状がなく、発作薬も必要なく、運動制限もない状態を指します。

公園内でランニング中の女性たち
写真=iStock.com/ferrantraite
※写真はイメージです

しかし、自己判断で薬の服用をやめてしまったり、自己管理を怠ると、重症化や最悪の場合は激しい発作で死に至ることもあります。

治療を途中でやめてしまう患者さんによくある傾向として、自分の一番苦しかった状態を基準に判断してしまうため、症状があるにもかかわらず、“あのときよりはよい状態にある”と自己判断してしまうケースが挙げられます。

治療を継続しても症状が改善されず、ぜんそくをコントロールできていない場合は、医師に相談の上、薬の量や種類を増やします。しかし前述の通り、正しく薬を使用できているかや、悪化因子の対策を正しく行えているかなど、患者さん自身が治療を適切に継続できているかを再確認することも重要です。ぜんそくは一度発症すると完治が難しい病気です。放置すると慢性化したり重症化するため、「風邪かな?」と放置せず、早めに医師へ相談することをお勧めします。

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