成人ぜんそくは完治が難しいと言われている

成人後に発症するぜんそくは、高血圧症や糖尿病と同じように慢性疾患(長期にわたって付き合っていく必要がある病気)です。とくに成人ぜんそくは非アトピー型が多いことやぜんそく悪化の要因が小児よりも多いため、完治は難しい病気といわれています。また、気管支の「リモデリング」が起こりやすいことも大きな要因です。「リモデリング」とは、ぜんそく治療の中断や放置などで、炎症が長期に続くことで気道の線維化が進んで硬くなり、気道が狭い状態のまま元に戻らなくなることを言います。治療しても治りにくくなったり、重症化を招く要因となります。

成人ぜんそくは日々の生活の中に症状悪化の要因が多く存在します。次の項目も要因となるため、注意が必要です。

肥満はぜんそくを悪化させるだけでなく発症因子でもある

【喫煙・受動喫煙】

喫煙は呼吸機能を低下させ、気道収縮を引き起こします。また、薬の効きも悪くします。受動喫煙でも自分が喫煙するのと同じくらいぜんそくを悪化させる要因となります。

喫煙中の男性
写真=iStock.com/PonyWang
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【メタボリックシンドローム・肥満】

メタボリックシンドローム・肥満は、ぜんそく悪化因子であり、発症因子でもあることがわかっています。

内臓脂肪に含まれる脂肪細胞が炎症を悪化させる物質を出し、気管支周辺の脂肪細胞のすき間に炎症を引き起こす細胞が多く集まることによって、ぜんそくを悪化させる恐れがあります。とくに女性の場合、BMIが高いほどぜんそくが重症化することがわかっています。また、肥満を解消することで肺機能がよくなることも報告されています。

【ストレス】

ストレスがぜんそくを悪化させる原因ははっきりと解明されていません。一説では「コルチゾール」が原因とされています。コルチゾールとはストレスを感じたときに分泌される物質で、ストレスホルモンとも呼ばれます。

精神的なストレスを感じてコルチゾールが分泌されると、体内ではサイトカインという免疫細胞を活性化させる物質が放出されます。具体的には、ウイルスやアレルギー物質などの有害物質を体外に排除する作用があります。

サイトカインによって異物が排除される際には、身体に何らかの炎症が起こります。もともと気道に炎症がある状態でサイトカインが放出されると、炎症はますます悪化しやすくなり、ぜんそくの方はサイトカインによって症状が悪化してしまうと考えられています。