アプリを活用して夫婦で支出を見える化

さしあたっては、収入と支出も見える化したうえで、財布を一つにすることからスタート。

見える化には、アプリの活用を提案しました。夫婦で持てるチャージ型のプリペイドカードが増えてきていますが、その中でも「B/43ペアカード」というカードを使うことに。このカードの口座に各自収入の一部を入金し、生活費の支払いもここから行います。そうすると、連携しているアプリで、支出の明細が確認できるというものです。

小柳夫妻は、住宅ローンや水道光熱費などの固定費は引き続き夫の口座から引き落とし、「B/43ペアカード」の口座に入れたお金は、食費や日用品費、娯楽費など家のもので出ていくものと決めました。

【図表】小柳さんちのメタボ家計Before⇒After

これまでは、例えば夫が子供と二人で遊んでいるときに子供に買い与えるおやつ代は、いったん夫のポケットマネーから出して、その後家計として精算していました。それが、「B/43ペアカード」を使うようになってからは、子供に使うお金はこのカードで支払えば、夫婦間の精算の手間もなくなり、妻もアプリを見れば、今日はいくら使ったかが一目瞭然に分かるように。これで、「このお金はどっちが出すか?」問題は解決です。

その他、二人が管理できる銀行口座を新たに作り、ここにも各自収入の一部を入金。そこからローンや水道光熱費などの固定費を引き落とすことに決めました。

「B/43ペアカード」も、共有の銀行口座も、分かりやすく5:5でお金を入れているとのことです。

共有口座&支出の見える化で、支出削減効果も

こうした仕組みづくりで、思わぬ効果も生まれました。

二人はもともと倹約思考だったため大きく削れる部分はありませんでしたが、通信費を格安スマホに替えて6000円削減できたり、支出の見える化で日用品の“重複買い”や子供服を買い過ぎていたりすることに気づき、その無駄をカットすることができたのです。

結果、合計1万6500円もカットでき、タカシさんの負担は大きく減りました。その余剰分で、タカシさんは念願のiDeCoを開設できました。

夫婦で財布を一つにし、支出を見える化することで、互いに変な腹の探り合いもなくなり関係性もよくなった。さらに夫は自分名義のiDeCoを開設することができ、妻の希望通り「世帯」としての積み立て額も増加。二人にとっては共有財産が増えただけでなく、夫婦の風通しもよくなり、いい循環ができているようです。

今回のように、たとえ夫婦の間柄であっても互いの収入を公開することに戸惑いがある人もいるかもしれません。そして、しばしば各支出項目を「どっちが出す問題」が持ち上がり、それがこじれて夫婦関係の険悪化し、最悪の場合は離婚にいたるケースさえあります。

しかし、「節約志向」や「家族全員の幸せのために家の資産を増やしたい」といった思いが夫婦で共通しているならば、絶対に財布を一つにした方がいい。そうすることで、配偶者はいい伴走者になり、資産の増え方も加速していくものです。

【関連記事】
「子どもを公立に行かせる」と言い出せない……世帯年収1150万円で新築タワマンを買った共働き夫婦の悲劇
申告を忘れると夫婦2人で9万円の損…「年末調整」で多くの人が見落としがちな最近始まった"控除の種類"
夫婦ともに給与収入850万円超の場合は10万円がお得に…年末調整で忘れてはいけない「3枚目の書き方」
「一生涯続く終身保険」はやめてください…40代子育て世帯に、プロが「これ1本でいい」といった保険の種類
新NISAが始まっても投資に手を出してはいけない…経済学者が「老後に備えるならコレ」と唯一勧める金融商品【2023上半期BEST5】