「もっと優秀な若者を採用できるかも」という意欲
若者雇用促進法以前には、「うちの会社は有給休暇をたくさん取得しています」「うちの会社は残業時間が短いです」と言ってもそれを公表する場もなく、評価されづらく、企業として組織的に取り組む内容として設定できなかったのだ。
しかし多くの企業が開示をするようになって、「うちの会社はとても有給休暇取得率が高いから、もっと優秀な若者を採用できるかもしれない」「うちの会社は、いまは○○率が低いが、これを改善すれば働いてほしい人材に振り向いてもらえるかもしれない」といった競争が起こった。
もちろん、折しも同じ時期に採用面でリーマンショックのダメージから回復し、若手採用が困難な状況が労働市場で顕在化してきたために労働条件改善競争が起こりやすかったことも忘れてはならない。
「職場の居心地がいい」という若手社員が増えた
職場運営法改革の時代の号砲となった若者雇用促進法を紹介したが、ほかにも、ここ5年ほどの動きは目まぐるしい。
2019年から施行された働き方改革関連法。時間外労働の上限規制や有給休暇の義務取得設定など日本の労働環境を根本的に変えた法令のひとつであるという評価には、概ね肯定いただけるだろう。同時に職場の運営を根本的に変えた法令でもある。
2020年に施行されたパワハラ防止法(改正労働施策総合推進法)。
2022年には改正育児介護休業法により、育児休業取得の確認が義務化されるなど、育児介護休業法の改正は毎年のように行われている。2024年にも男性育休の取得率の開示義務を拡大する法改正が予定されている。
このように様々な法改正により、若者を取り巻く職場環境は急激に改善され、若手社員の就業時間の短縮や、有給休暇の取得率が跳ね上がり、「居心地が良い」と回答する若手が増加する変化をもたらしたのだ。