サイゼリヤの2023年8月期の決算は大幅な増収増益で、コロナ禍での業績低迷からのV字回復を果たした。企業アナリストの大関暁夫さんは「すばらしい決算だったが、国内部門は約15億円の営業赤字であり、中国などアジア地域の営業利益で埋め合わせている。収益構造のいびつさを解消しなければ、値上げは避けられない」という――。
サイゼリヤ
サイゼリヤ(写真=HQA02330/CC-BY-SA-4.0/Wikimedia Commons

業績低迷から「V字回復」を遂げたが…

低価格イタリアンレストラン・チェーン、サイゼリヤの決算に注目が集まっています。同社の23年8月期は、売上高が前年同期比27%増の1832億円、営業利益は実に前年同期比約17倍の約72億円(昨年同期4.2億円)を計上し、コロナ禍での業績低迷からのV字回復となる大幅な増収増益決算となりました。

サイゼリヤは2019年8月期に営業利益95億円という好決算を記録したものの、20年8月期以降はコロナ禍で客足が伸びず3期連続で業績が低迷し、苦戦を強いられていました。今回の好決算に市場も好感し、決算発表翌日にはストップ高を記録して年初来最高値を更新しました。