秋篠宮さまの即位は想定しにくい

こうした問題の“すり替え”が企てられる理由は何か。それは、もともと構造的な欠陥を抱えるルールによって規定された、現在の皇位継承順序をいっさい変更しない、という無理な方針による。

有識者会議報告書には以下のように書いてあった。

「今上陛下、秋篠宮皇嗣殿下、次世代の皇位継承資格者として悠仁親王殿下がいらっしゃることを前提に、この皇位継承の流れをゆるがせにしてはならない」(6ページ)

しかし、秋篠宮殿下は天皇陛下よりもわずか5歳お若いだけだ。たとえば天皇陛下が85歳で退位を望まれたときには、すでに秋篠宮殿下は80歳というご高齢になっておられる。それから即位されるという展開は現実的には想定しにくい。

そうかといって、天皇陛下がご壮健でいらっしゃるのに、秋篠宮殿下のご年齢に配慮して早めに退位されることも、適切ではあるまい。天皇として象徴の務めを全身全霊でまっとうできなくなるから、という上皇陛下のご退位の理由とはかけ離れてしまうし、恣意しい的な退位とも受け取られかねない。

したがって、不測の事態でも起きない限り、秋篠宮殿下の皇位継承は考えがたい。

さらに秋篠宮殿下ご自身が即位されるお考えはなさそうに拝察できる。これについては以前、詳しく述べた(プレジデントオンライン「皇位継承順位が第1位でも『秋篠宮さまは即位するつもりはない』と言えるこれだけの理由」令和4年[2022年]4月29日公開)。

報告書にある「ゆるがせにしてはならない」という記述は、端から現実味がない。

継承順序の変更は不可欠

その場合、あくまでも今の継承順序にこだわれば、悠仁殿下は天皇のお務めや天皇としてのお心構え、責任感などを、身近に体感する機会がないまま、(また「皇太子」としてのご経験も積まれることなく)いきなり天皇として即位されることになる。これも無理のある展開だろう。

そもそも、皇位継承の不安定化の原因は現在の欠陥ルールそのものにあった。だから制度改正は、そのルールによる不安定さを克服するのが目的のはずだ。にもかかわらず、その危機をもたらしている当のルールに基づく皇位継承順序を不動の前提として、その順序を変更しない範囲内で限定的・小手先的な変更を行っても、問題を解決できるはずがない。

したがって理性的に考えると、現在の皇位継承順序を固定化することは事実上、問題解決を投げ出すに等しいことが誰でもわかるはずだ。

ところが、そこに感情的な要素が混入すると、いささか事情が違ってくる。皇位継承順序を変更すると「秋篠宮家がお気の毒」「秋篠宮家に失礼」といった情緒的な発言が、意外と訴求力を持ちかねない。

しかし、そうした言い分は、自分たちの無理筋な意見を押し通すために、秋篠宮家への表面的な同情を利用しているだけなのではないか。秋篠宮家の方々のお気持ちを謙虚に拝し、それを極力尊重しようとする態度とは、似て非なるものに思える。