「謝れない大人に育つ」は思い過ごし

あやまることについての例を読んで、「甘すぎる」と感じましたか? わたしも、以前はそう思っていました。子どもに「ごめんね」と言わせることなく、親が代わりにそう言うことで、子どもがあやまらないことを許してしまっているのではないかと。そうやって心配するとき、多くの親が考えます。「いつまでも親が代わりにあやまってくれると思っていたら困る。自分であやまれるようになってもらわなきゃ!」。

ベッキー・ケネディ『GOOD INSIDE』(東洋館出版社)
ベッキー・ケネディ『GOOD INSIDE 子どもにとってよい子育て』(東洋館出版社)

さて、ここで深呼吸をして、子どもの(そして親の)内側にあるよい部分についてもう一度考えてみましょう。思い出してください。子どもは、内側ではよい子です。やさしい子にするために、訓練する必要はありません。やさしさの邪魔をしている壁を乗り越える手伝いをすればいいだけです。

その壁は、表面的には意地悪な行動のように見えますが、実際には、子どもを守るために出現しています。恥じる気持ちを緩和すること(「〜が見つからないんだね」)や、無理強いしないこと(代わりにあやまる)をわたしが勧めるのは、それが子どもの「気分をよくする」ことだからではありません。わたしがこうするように勧めるのは、子どもがやがて、自分のしたことはまちがっていたと反省し、自分からあやまる可能性がもっとも高くなるからです。

やがて恥じる気持ちに自分で対応できるようになる

子どもが経験する恥じる気持ちのなかには、外的要因によってもたらされるものがあります。この世界では、子どもは自分ではどうすることもできない特性や環境によって評価されるからです。クラスメイトから、体型や、経済格差のことで恥をかかされることは、現代の子どもが直面し得るつらい現実です。

ただし、よいニュースもあります。あなたが親として介入できるときに緩和しつながりを増やしておけば、子どもは親の影響力の外にある世界で恥じる気持ちに駆られても、対処できるようになります。なぜなら、恥をかかされる原因が何であれ、それを減らすのに最適な方法はいつも同じだからです。自分が内側ではよい人間だと知ること、愛されるにふさわしい人間だと知ること、そして価値ある人間だと知ることです。

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