大学どころか、中等教育も受けられない

キャンプでの一番の問題は、教育だという。

キャンプ内には、教育施設は寺子屋のようなものしかなく、対象は小学生のみ。90万人がキャンプにいても、中学、高校、大学などの教育を受けることができるロヒンギャの人たちは、ほとんどいない。

「子どもたちに教育を受けさせたい。だが、それができない」という親のストレス。
「勉強がしたい。でも、学校がない」という若い人たちの絶望感。

どちらも、日本のそれらとは比較にならない。

彼女たちは、同じ境遇のロヒンギャの人たちに人道援助を届けるために国境なき医師団でボランティアをしている。自分たちも難民なのに、だ。

それぞれが、トラウマになるほど苦しい経験をし、いまも未来が見えない過酷な日々を送っている。

それにもかかわらず、「生き抜くんだ」という強い意志と「逆境をはねのけよう」とする決意が、彼女たちの目や言葉の端々から伝わってきた。

同じような状況になったとき、彼女たちのように強くなれるだろうか―。彼女たちと話をしながら、僕は自問していた。

彼らに比べたら、日本人はもっと自由に生きられるはず

実際には、そんなことはそのときになってみないとわからない。

だが、たとえいまの仕事や生活がどんなにつらくても、忘れてはいけないことがある。それは、僕たちはこの世界で圧倒的に恵まれた存在なんだということ。

村田慎二郎『「国境なき医師団」の僕が世界一過酷な場所で見つけた命の次に大事なこと』(サンマーク出版)
村田慎二郎『「国境なき医師団」の僕が世界一過酷な場所で見つけた命の次に大事なこと』(サンマーク出版)

だからこそ、日本のような国に生まれ育ち、夢を描かない、追いかけないというのは、モッタイナイ――そう思わないだろうか。世の中の常識や空気にとらわれず、自分の命をもっと自由に、思いきり大きく使ってみないか。

もちろん、家庭の事情や健康面などで自分のことを不運と感じている人もいるかもしれない。だが一般的に、僕たちが言っている「人生の危機」というのは、戦争や紛争の被害者の人たちからすると、それほど深刻なレベルにはないはずだ。

その危機の多くは、自分次第で乗り越えられるものではないだろうか。だからこそ、自分たちに与えられた「特権」に気づいてほしい。

そう。僕たちは、自分の命の使い方を自分で自由に決められるのだ。

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