お金をどれだけ手にしたところで、人は幸せになれない。億万長者になれたのに満たされない人は、何が足りないのか。雑誌「プレジデント」(2023年11月3日号)の特集「人生の価値」より、作家の橘玲氏のコラムをお届けします――。
お金が増える喜びにいずれ慣れる
お金はないより、あったほうがいいのは確かです。お金によって、心配事を減らすことができるからです。ただ、お金の量に比例して幸せになるかといえば、それはありません。「限界効用逓減の法則」によって、お金が増えても、満足度はそれほど上がらないからです。
限界効用とは、「モノやサービスが1単位増えたときに得られる効用」を意味します。これが逓減することで、お金の保有量が増加するにつれて、その効用は徐々に減っていきます。
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