「結論ファースト」のロジックに潜む落とし穴
いまの時代、コミュニケーションの速度が、かつてよりはるかにスピードアップしています。スマホを持つのが当たり前になり、どんな人でもすぐに連絡が取れるようになりましたから、LINEの返信が5分、10分で返ってこないだけで不安になる人もいるでしょう。
そうした時代のコミュニケーションにおいて大切だとされているのが、「まず結論から伝えよう」という「結論ファースト理論」です。
私もこのこと自体には別に反対しません。前項で説明した「話に見出しをつける」というのも、いわばこの結論ファースト理論の重要性について述べているわけですから。
ただし、最近は「話を短くしよう」「結論を伝えよう」という意識ばかりが先行して、報告や連絡などの場面で、本当に「結論だけ伝える」というケースが多くなっています。
ここが間違えてはいけない、覚えておいていただきたいポイントですが、報告や連絡などの場合、結論を伝えることと同じくらい、そこにいたるまでのプロセス(過程)をセットにして伝えることが大切になります。
なぜなら、結論だけを端的に伝えても、それだけではその後どうするべきか、判断する材料を相手に与えられないからです。結論を先に伝えるのは大事だけど、それだけではダメなのです。
そもそも説明は何のために行うのか
たとえば、あなたがウォーターサーバーのセールスパーソンだとします。そんなとき、上司に「今日は契約を取れませんでした」と結論だけ伝えるのでは、報告としては不十分です。
これだけいわれても、上司からすれば「ダメじゃん。もっとがんばれよ」くらいしか答えられません。
一方、結果ととともにプロセスも報告すると、たとえば次のような言い方ができます。
「今日は新規の契約が取れませんでした。ただ、興味を持ってくれる方も半数くらいはいて、パンフレット等はお渡しできました。次の週末、同じお宅に再度訪問して、もう一度お話してこようと思っています」
こちらのほうが、上司からの評価は高くなります。なぜなら、こちらは仕事の結果だけではなく、
・なにができたのか
・次になにをしようと考えているのか
もわかるからです。
相手になにかを説明したり報告したりする場合、大切なのは「その後どうするか」を判断するための材料を相手に提供することです。
結論だけではその材料として不十分なので、結論・結果を伝えたあとに、その経緯もセットにして伝えることを意識してください。