説明が上手な人・下手な人は何が違うのか。お笑いコンビ「アンジャッシュ」の渡部建さんは「話に見出しが付けられる人、話を整理して紙芝居化できる人なら相手が最後まで話を聞いてくれる」という――。

※本稿は、渡部建『世界一わかりやすい コミュニケーションの教科書』(きずな出版)の一部を再編集したものです。

会話する男女のイラスト
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なぜ、あなたの話は最後まで聞いてもらえないのか

よく「話を最後まで聞いてもらえない」という人がいます。

まず知ってほしいのは、「そもそも人の話を聞くのは苦痛である」という事実です。学生時代、校長先生の朝礼の話を聞くのが好きだったという人はいないでしょう。一方的に相手の話を聞くのはストレスになるものです。

そしてこのとき、さらに相手に負担をかけてしまう場合があります。それが「終着点の見えない話を聞かされる」ケースです。あなたも「一体この人は、なにがいいたいんだろう」と思いながら相手の話を聞かざるをえないことがあると思います。そんなときは、ふつうに相手の話を聞くよりももっと疲れますよね。

こうした事態を防ぐために大事なのが、「話に見出しをつける」テクニックです。要するに、具体的な話を始める前に、「これからこんな話をしますよ」というものを端的に相手に伝えておくということです。いまの時代は、とくにこの「見出し」の重要性が高まってきています。

たとえば、いまどきのテレビ番組やYouTubeでは、コンテンツの冒頭に、そのコンテンのなかでいちばんおもしろい部分や伝えたいところを取り出したものを流します。これを「アバン」といったりします。

このアバンの作り方は、だいぶ変わってきました。昔であれば、テレビ番組ではいちばんおもしろいシーンはできるだけ出さないようにしていました。

でもいまは、その番組のいちばんおもしろいシーンをバンバン見せていきます。そうしないと、なかなか視聴者のみなさんに食いついてもらえないからです。

相手に求めるリアクションを最初に提示しておく

会話に見出しをつけるとは、人になにかを説明するときに、このような「アバン」をつくろうということです。といっても、別に相手におもしろがられるような奇抜なキャッチコピーやタイトルなどをつける必要はありません。

大切なのは、「この話を聞いたあとに求めるリアクション」です。

たとえば、

「ちょっと相談したいんですが……」
「ちょっと○○さんのご意見いただきたいんですが……」

いう見出しをつけてから話を始めれば、聞き手は話を「どんな意見をいうか」を念頭に置きながらあなたの話を聞けますよね。逆に、

「これは参考程度に聞いていただければいいんですが……」
「これはまあ与太話に近いですが……」

などと前置きしておけば、そこまで集中して聞いてくれなくてもOKというふうに相手にリラックスしてもらいやすくなります。

このように、最初に相手に求めるリアクションを提示する「見出し」をつけるだけでも、聞き手のストレスを軽減させ、自分の話を聞いてもらいやすくなるのです。