※本稿は、渡部建『世界一わかりやすい コミュニケーションの教科書』(きずな出版)の一部を再編集したものです。
みんなのアイデアを引き出すための超簡単な方法
ミーティングや会議などで「なにか意見のある人はいませんか?」と聞いても、誰も手があがらない、発言しないで、議論が盛り上がらないことは日常茶飯事でしょう。
こんなときに大事なのは、まず自分がなにかひとつアイデアを出すこと。いわば、たたき台を自分が提供するということです。
そもそも、まったくのゼロベースでなにか発言するのは難易度が高いことです。そのため、いちばん大変な「先陣を切る役目」を自分が引き受けることで、ほかの人の発言を引き出すことができます。このとき、アイデアの質はまったく問いません。むしろ、あまりよくないアイデアのほうがいいくらいです。
たとえば私も、番組の打ち合わせで、若い作家さんがあまりよくないアイデアを出してきたほうが、「いや、それだったらこっちのほうがいいよ」など、そこから議論が発展してきた経験があります。
とにかく大事なのは、まず「一つ目のアイデア」を出すこと。そのアイデアが良いものか悪いものかは、問われません。一つ目のアイデアが呼び水となって、ほかの人からもアイデアが出てくるようになるのです。
誰かが発言したら…明石家さんまや有吉弘行がすること
会議を活性化させるためには、参加者全員が「自分が発言してもいいんだ」という心理的安全性をもてることが非常に重要です。逆に「こんなことをいったら、バカにされるんじゃないか」という不安がある状態では、活発な発言なんてできるわけがありません。
心理的安全性を確保するために大事なことは、誰かが発言したら、すかさずポジティブに反応するということです。私はこれを「ポジティブリアクション」とよんでいます。
明石家さんまさんや有吉弘行さんなど、人気の司会者は、テレビ番組を見ているとよく笑いますよね。あれも、どんな人の発言であってもまず司会者である自分が率先して笑うことで「どんなことを発言してもいいんですよ」という心理的安全性を共演者の人たちに提供している役割を持っているわけです。
会議やミーティングもこれとまったく同じ。どんな発言であっても、無視されたり否定されたりせず、ファシリテーターである自分が意見の一つとしてちゃんと受け止めますよ、と示すことが、全体の議論を活性化させるために必要なのです。