意見やアイデアのほとんどは採用されない

正直なところ、いいアイデアというのは、いろいろな人から集めたところでたくさん集まるものではありません。世の中のヒット商品と呼ばれるようなものは、個人のちょっとした思いつきから生まれたことが多いです。

たくさんの人が集まってアイデアを練り合わせても、それがいいものになるわけではない、ということは、社会人の方ならなんとなく実感することも多いのではないでしょうか。アイデアというのは、1をたくさん集めても、それが10になったり100になったりはしないものです。

だから、いいアイデアを出すという目的だけあれば、じつはセンスのいい、勘所のある人のワンアイデアだけで結論がついてしまう、むしろそのほうが効率的でエッジの立ったものになる、ということがあります。

渡部建『世界一わかりやすい コミュニケーションの教科書』(きずな出版)
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でも、それでは、そのアイデアを実行に移すときに参加するメンバーのモチベーションは高まりません。誰かが考えたアイデアを実現するためのお手伝いにすぎない、というような意識が働いてしまうからです。

だからこそ、どんなにつまらなくても、凡庸ぼんようでもいいから、全員からまずは一度意見を出してもらうというプロセスが大事になるのです。

おそらく、最終的に半分以上の人の意見はまったく取り入れられないような結果になってしまうこともあるでしょう。でも、少なくとも一度は自分のアイデアが議論の俎上そじょうにのぼったという事実が大事なのです。

会議というのは、いい結論を出すことだけが目的なのではなく、むしろその結論に至るまでのプロセスをみんなで共有し、やろうと決めたアイデアを実現させやすくすることにこそ価値があります。

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