李強首相とマスク氏の特別な関係
マスクは事前に李強首相との会談も望んでいたという。だが、李強と会えたかどうかは確認がとれていない。
李強は2019年当時の上海市書記で、テスラ工場の上海招致に重要な影響を与えた。ひょっとすると秘密裏に会談しているかもしれない。
それまで外国の自動車メーカーが中国に工場をつくる場合は、「中外合資」が条件だった。だが、テスラに対しては中国パートナー企業との合資の必要がなく、独資でよいと決断したのは李強だった。
2020年1月、マスクはテスラ上海工場の「モデル3」納車セレモニーに出席。
その直後に中国ではコロナアウトブレークによる上海ロックダウンが発生。
これは中国におけるテスラとEV産業の発展に直接的な多くの影響を与えた事件だった。
米中デカップリングに抵抗するイーロン・マスク氏
米シンクタンクのオルブライトストーンブリッジグループで中国ハイテク政策担当のシニア副総裁を務めるポール・トリロによれば、マスク氏が今回訪中したのは、中国の政策の方向性を探ることであろう、という。
マスクは訪中期間中、経済的に中国を切り離そうとする西側政界に対し抵抗する姿勢を明らかにしている。
中国外交部が発表したプレスリリースによれば、マスクは秦剛との会談で、「米中利益は融合しており、シャム双生児のようなものでお互い密接で不可分だ」と語ったという。
さらに、「テスラはデカップリングや断絶に反対し、引き続き中国業務を展開していきたい」と述べたという。