文字・声の良い点を活かしたコミュニケーション

テクノロジーの進化によって声の文化と文字の文化を融合させるケースも出てきています。例えば、メールほど堅苦しくなく、電話のように相手の時間を一方的に奪わないテキストチャットは、仕事でもプライベートでも活用されています。

安川新一郎『ブレイン・ワークアウト』(KADOKAWA)
安川新一郎『ブレイン・ワークアウト』(KADOKAWA)

チャットはテキストで表現されていますが、声のコミュニケーションの延長です。そのため、絵文字やスタンプ等の非言語コミュニケーションや、感嘆符や長音符等の感情を込めたニュアンスをつけるセンスが求められます。

「よろしく!」や「よろしくー」という親しみを込めた声の感情のニュアンスが求められるなかで、「よろしく。」のように句読点を多用した文章は、冷たさと圧を感じ、おじさん構文として嫌われます。チャットを文字の文化(メール)の延長として捉えてしまっているからです。

私は、少し込み入った状況の説明や、読んだ本の感想など、声で説明してしまったほうが簡単でかつ伝わりやすいと思ったときは、1分ほどの音声メッセージを残してメッセンジャーで相手に送っておきます。記録ができ、再現性があり、非同期でお互いの都合の良い時に情報を取得できるのは文字の文化の良いところです。そこに声の文化の状況依存性、即興性、感情移入性などの要素を上手く組み合わせることで、文字・声の良い点を活かしたコミュニケーションが可能になります。

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