大手が参入しないニッチを狙う

ビジネステーマが決まったときに考えなければならない重要なことは、顧客ターゲットや分野を狭く絞り込むことです。これにはメリットがあり、個人でも参入しやすく、そして競合に対して独自色を出して差別化しやすいからです。

たとえば、自分は英語が得意だから英会話スクールをやろうとしても、大手中小含めて英会話スクールは競合がたくさんあり、大資本が派手に広告宣伝をしています。

あるいは、ピアノが得意だからピアノ教室といっても、ヤマハやカワイなどが全国展開しており、地元には古くから個人の教室が散在しています。

こういったマーケットで勝つ(安定的かつ継続的に集客していく)のは容易ではありません。

しかしたとえば、「ビジネスパーソンのための、英字新聞や英語雑誌がスラスラ読めるようになるスクール」とすればどうでしょうか。

大手企業はマーケットの大きいところに参入します。つまり日常英会話・ビジネス英会話・TOEICといった、誰でもわかりやすい市場は、当然ながら大手企業が参入しています。それに、大手はハイレベルな講師も擁しており、クオリティ面で差をつけることも難しい。

でも、英字紙読解に特化したスクールは多くはないはず。「英語文献の読解」「世界の情報収集」に興味がある人にダイレクトに届く可能性が高いということです。

また、主婦や学生ではなくビジネスパーソンなら、多少は単価が高くても受講料を払う余裕があるはず。それに、英会話が必要なビジネスパーソンは多くなくても、英語文献を読めることは情報収集という点からもニーズを掘り起こせるかもしれない、と考えることができます。

ホワイトボードの前で講義をする女性講師
写真=iStock.com/Promo_Link
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大量に顧客を獲得する必要はない

ピアノ教室も、たとえば「英語でレッスン」とか「3歳から5歳までの音感教育専門」などと謳うことで、競合との差別化が可能となります。

個人でやる小規模ビジネスの場合、企業のようにオフィスの賃料を払ったり、従業員に給料を払ったり、人事・総務・経理といったバックオフィス部門の人件費などは発生しません。つまり大量に顧客を獲得しなければやっていけないわけではないので、市場規模が小さくても問題ない。

むしろ、セグメントを狭く絞り込めば、そのマーケットの小ささゆえに、大手企業が参入してくる可能性は低く、競争も激化しにくくなります。さらに、顧客ターゲットをより細かく特定すれば、そこにズバリ当てはまる人に振り向いてもらいやすいと言えます。